日本5社連合・MAN、アンモニア焚き共同開発。ケープサイズバルカーに NSY建造、川汽・NS運航
川崎汽船、伊藤忠商事、日本シップヤード(NSY)、三井E&S、NSユナイテッド海運の5社連合は11日、独MANエナジーソリューションズとアンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発に合意し、覚書を締結したと発表した。グリーンイノベーション(GI)基金事業で日本5社連合が開発を進めるアンモニア燃料焚(だ)き20万重量トン級ケープサイズバルカーにMAM開発の2元燃料エンジンを搭載する。NSYが新造船の設計・建造、三井E&Sがエンジン製造、川汽とNSユナイテッド、伊藤忠が運航管理とデータ収集を担う。 今回の合意は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のGI基金事業に2021年秋に共同採択された日本5社連合の「アンモニア燃料船開発と社会実装の一体型プロジェクト」の一環。 水素と窒素で構成されるアンモニアは炭素を含まず、国際海事機関(IMO)のGHG(温室効果ガス)削減戦略に貢献する舶用ゼロエミッション燃料として期待されている。 アンモニア燃料船の社会実装には、特に毒性のあるアンモニアに対する安全性確保と海上での安定運航の確認が鍵を握る。今回のプロジェクトは新造船の竣工後に運航データを収集し、アンモニア焚き機関とアンモニア燃料船の商用化を共同で推進する。 MANとの合意に当たり、日本5社連合は「覚書締結に基づきアンモニア焚き機関とアンモニア燃料船の開発を進め、できるだけ早期に竣工・社会実装開始を目指す」としている。 各社の役割はMAN=アンモニア焚き機関の設計・開発、竣工後の機関の検証▽NSY=アンモニア燃料バルカーの設計・建造▽川汽、NSユナイテッド、伊藤忠=アンモニア燃料バルカーの運航管理(船員教育・船舶管理体制の構築)、アンモニア焚き機関の運転データ収集▽三井E&S=アンモニア焚き機関の製造と周辺システムの設計・製造▽伊藤忠=アンモニア燃料供給に関する情報共有。 覚書の締結式にはMANエナジーソリューションズジャパンのダニエル・シュトラックマイアー社長、川汽の池田真吾執行役員、NSユナイテッドの佐藤義則執行役員、NSYの檜垣清志社長、三井E&Sの田中一郎取締役、伊藤忠の尾関洋彦船舶海洋部長が出席した。
日本海事新聞社