PK戦制した近大和歌山が7大会ぶりの頂点に!! 敗れた初芝橋本も新人戦からの成長示す
[6.9 インターハイ和歌山県予選準決勝 近大和歌山高 0-0(PK5-3) 初芝橋本高 上富田スポーツセンター球技場] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 令和6年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)サッカー競技の部(男子)の和歌山県予選決勝が9日、上富田スポーツセンター球技場で行われた。 近大和歌山高と初芝橋本高の対戦は、35分ハーフの前後半でスコアレス。10分ハーフの延長戦でもスコアボードは動かず、PK戦にもつれ込んだ。初芝橋本の1本目をGK高本陽史朗(3年)が止めた近大和歌山がPK戦を5-3で制し、7大会ぶり12回目の総体出場が決定。今年2つ目の県大会の優勝トロフィーを手にした。 試合結果だけを見れば、2月に行われた令和5年度和歌山県高等学校サッカー新人大会の決勝と同様、スコアレスドローでのPK決着で近大和歌山の勝利。しかし内容に関しては、近大和歌山が圧倒していた新人戦とは異なり、この日は拮抗した試合展開だった。 初芝橋本の阪中義博監督は試合後、「選手たちが本当にがんばってくれたと感じている」と語り、その表情には陰りもなかった。負傷した選手やコンディション不良の選手もいた状態で臨んでいた初芝橋本。ディフェンスラインの中心選手でもあるキャプテンのDF福本悠二(3年)、ボランチのMF角野有右斗(3年)を欠いており、途中交代で投入したFW四元大悟(3年)やFW中谷玲央(3年)も十分な時間をプレーさせられる状態ではなかった。チームとして万全の状態ではなかったにも関わらず、新人戦では近大和歌山に好きなようにボールを繋がれ、ゴール前でなんとかしのいでいた印象から一変。この日の公式記録でのシュート本数は、延長戦までを含めて近大和歌山が5本だったのに対し、初芝橋本は7本と上回った。阪中監督は、「新人戦ではあんなに大きかった差をここまで縮められた」と選手たちの成長ぶりを心から喜んでいる様子だった。 2日前に行われた準決勝では、第76回近畿高等学校サッカー選手権大会で準優勝した近大新宮と対戦し、FW川上優(3年)のゴールで1-0の勝利。近畿大会準決勝で近大新宮にPK負けした雪辱も果たしている。今年復帰したプリンスリーグ関西2部では白星をつかめず苦しんではいるが、その中でも少しずつ、けれど着実に成長できていることを示した。 その初芝橋本の成長ぶりについては、新人戦以来の対戦だった近大和歌山の藪真啓監督も敬意を持って賞賛。「プリンスリーグで頑張っているんだろうな、と感じた。戦っているリーグの違いは意識して試合に入ったが、ディフェンスラインも揃っていて、局面局面でのたくましさを感じた」という。大会を振り返り、「準決勝で和歌山北高校、決勝で初芝橋本との試合を経験できたことに感謝している」と語った。 県リーグ1部で首位を争う和歌山北との準決勝では、FW山本優志(3年)の決勝ゴールによって3-2で競り勝ったが、シーソーゲームになり、延長戦までもつれ込んでいる。キャプテンのMF佐久間瑛介(3年)は「藪先生もいつも声をかけてくれているけれど、『走れる』ということにはチームとして自信がある」と話していたが、準決勝の翌日は「思っていたよりも選手たちが疲れている様子だった」(藪監督)という。準決勝から中1日で開催された決勝戦では、「やっぱり1つ上のリーグで戦っているチームは動き出しも速くて、あまりボールを持たせてもらえなかった」(佐久間)。今年のチームはうまくビルドアップし、サイドチェンジや裏へのパスを効果的に生かせるだけの動き出しの速さや走力もあるが、決勝と準決勝の接戦を勝ち切る中で「強度はまだまだ足りない」という教訓を得たと、藪監督も佐久間も口を揃えた。 新人戦に続くタイトル獲得に貢献したGK高本は、「ここ(PK戦)で貢献しないと、チームに何も貢献できていないと思って」、PKの1本目をストップ。「準決勝も含めて不甲斐ないプレーが多くて、チームに迷惑をかけてしまった。裏へのボールの処理やDF陣との連携を改善して、全国大会までの時間で突き詰めていかなければいけない」と話した。チーム全体としての課題も得たが、選手それぞれもまた、今大会の準決勝と決勝を通じて修正すべき点を見つけたようだ。 2年前の冬に臨んだ全国大会でピッチに立つ経験をしたのは、MF松林優(3年)とFW木村憲慎(3年)のみ。佐久間やGK藤原啓二朗(3年)、DF嵜山仁(3年)、FW中西荘太(3年)、MF小峯李王(3年)もベンチ入りしていたが、ピッチに立つことがないまま初戦で敗退した。「自分たちは全国大会を経験した選手も少ないので、一戦必勝で」(佐久間)。今大会で得た課題を改善した上で、全国の舞台に臨みたい。