「育児したいなら退職すれば」 降格させられた男性が親会社を提訴
育児のために業務制限を申請したら降格・転籍させられたのは「パタニティー(父性)・ハラスメント」に当たるとして、男性社員が20日、親会社のオルゴール堂ホールディングス(HD、北海道小樽市)を相手取り、降格・転籍前の地位の確認や慰謝料など約1400万円の支払いを求める訴えを京都地裁に起こした。 訴えたのは、現在は子会社のオルゴール販売店に勤務する京都市の30代の男性。 訴状などによると、男性はHDの営業部次長だった2022年12月、育児のために会社の規則に基づいて、宿泊を伴う出張の制限を申請した。すると翌月、会社側から主任への降格を告げられ、現在の販売店に転籍させられた、としている。 男性は、降格を予告された22年12月、ハラスメント相談窓口の担当部長に相談したが、「会長、社長に根回ししていないのが良くない」と言われたうえ、翌年1月の社長との面談では「育児をしたいのなら、退職すればいい」と非難された、と主張。また、事前に相談せずに申請したことで、関係部署に混乱を引き起こしたなどとする始末書を書かされた、と訴えている。 男性は提訴後に京都市内で会見し、「(ハラスメント行為は)とてもつらい経験で、どう対応していいかわからず苦しかった」と話した。一方、HDの担当者は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。 ホームページによると、オルゴール堂は、北海道や横浜市、京都市などの観光名所で店舗展開し、国内外のオルゴールなどを販売している。(八百板一平)
朝日新聞社