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　出張族のビジネスホテル需要が急回復している昨今。本誌は、2023年以降に出張をした40、50代男性1000人に、好きなビジホを尋ねた。対象は、スタンダード／シングルユースタイプで客室面積が18平方メートル以下の、宿泊に特化したホテル7ブランドだ。 【写真あり】7大ビジネスホテルをもっと見る 「今回の1000人アンケートで5位までに入ったのが業界の“巨頭” 的存在です。相鉄、スマイルはそれに次ぐ規模のチェーン。得票数は店舗数が多いほうが有利になってしまいますが、すべて特色があり、ファンがついていますよね」 　そう語るのは、ホテル評論家の瀧澤信秋氏だ（以下同）。本誌は、6月下旬に覆面調査を実施。「ヤフートラベル」などの割引きを活用し、有料の朝食込みでも総額1万円以下になる都内・近郊店舗に、最安値になるタイミングで一泊した。その調査結果を、ホテル評論家・瀧澤信秋氏の分析「瀧澤の目」とともに紹介する。 ■出張族1位　 東横イン　353票／354店舗 リピート率は驚異の7割！　会員サービスも手厚い 「朝食が無料で、宿泊料金が安い」（48歳・サービス業・茨城県）、「料金変動が少ない」（56歳・製造業管理職・神奈川県）、「10回宿泊すると1泊タダになる」（43歳・福祉系職員・埼玉県） 【訪問店舗】大塚駅北口1（東京都豊島区） 【宿泊日】 6月19日（水） 【総額】 8100円（税込み） 【総評】 駅近にあることが多く、看板が目立つ。東京都内で朝食つきで1万円以下と安いうえ、朝食は無料で必要なアメニティも揃っている。「泊まるだけ」なら不自由はない。 【GOOD】 無料の朝食が食べ放題。「朝5時から作っている」（ホテルスタッフ）という惣菜パンはどれもおいしく、3種類のスープに、フルーツも。入会金1500円が必要だが、会員は10回宿泊で1泊無料に。 【BAD】 今回利用した「大塚駅北口1」店は、建物が古いのは否めない。朝食会場はロビーにあり、食事をしている背後を、チェックアウト客がスーツケースを引きながら出ていくので落ち着かなかった。外廊下なのはマイナスと感じる人は多いはずだが、東横インには、「このタイプがいくつかある」（スタッフ）ようだ。 【瀧澤の目】 リピート率が高い。チェックインの時間が早くなるなど、会員サービスが充実。基準価格があり、繁忙日でも基本的に料金変動はない。 ■出張族2位　 アパホテル　215票 ／ 803店舗 ビジホの枠に収まらない「新都市型ホテル」を展開中 「温泉や大浴場があり、朝食が多彩」（57歳・自営業・東京都）、「コロナのときお世話になった」（55歳・印刷会社経営・東京都）、「キャッシュバックが魅力的」（46歳・IT関連・千葉県） 【訪問店舗】 町田駅東（東京都町田市） 【宿泊日】 6月20日（木） 【総額】 8100円（税込み） 【総評】 ロビーや廊下、室内のインテリアなど、すべてにおいてワンランク上。1秒で完了するチェックイン機やカードキーをポストに入れるだけのチェックアウトなど、随所に気配りを感じる。 【GOOD】 枕元には携帯充電用の電源が2つあり、ベッドの上部にスマホを置くスペースがある。アメニティが安っぽくなく、歯ブラシは日常使いできるレベル。欲しいものが揃っていて、満足度は高い。 【BAD】 部屋の鍵はオートロックではないため、自分でかける必要がある。部屋に入ると真っ暗で、カードキーの差込口がわかりにくかった。 【瀧澤の目】 新築の「しっかりアパ」と経年感のある「がっかりアパ」の差がはっきりしています。後者は既存のホテルを買収してリブランドするタイプで、地方に多いです。アパはビジホという枠に収まらない「新都市型ホテル」で、数々の独自サービスを打ち出しています。 ■出張族3位　 ルートイン　188票 ／ 349店鋪 無料朝食の焼きたてクロワッサンに写写丸は涙した！ 「Pontaポイント、dポイントが貯まる」（58歳・製造業・愛知県）、「無料でおいしい朝食バイキング」（42歳・運送業・千葉県）、「値段のわりに部屋に高級感がある」（51歳・製造業・広島県） 【訪問店舗】 東京池袋（東京都豊島区） 【宿泊日】 6月23日（日） 【総額】 8190円（税込み） 【総評】 部屋はコンパクトながら、使いやすく清潔感があり、快適に過ごせた。池袋駅から徒歩6分、できたて無料朝食つきで8千円台で泊まれたのはありがたい。 【GOOD】 WOWOW視聴が無料。1日1千円の「ルートインシアター」は洋画、邦画、バラエティなど配信本数は500本以上、アダルトもあり。ベッドのヘッドボードに防災用ランタンがあり安心感がある。テレビ画面でランドリーの使用状況、朝食会場の混雑状況がわかるのは便利。 【BAD】 不便さは感じないが、建物は古め。延長コードがあったものの、部屋にコンセント2口は少ない。 【瀧澤の目】 もとは郊外の幹線道路や高速インターの近くなどに展開する「ロードサイド型ビジネスホテル」だったんですが、最近では駅近や都心にも見られます。無料の朝食は人気が高く、ファンも多いブランドです。温泉や大浴場を備える施設もあります。 ■出張族4位　ドーミーイン　120票 ／ 94店舗 天然温泉＆サウナに固定ファン多数 「ご当地食や天然温泉がある」（52歳・自営業・東京都）、「夜鳴きそば、風呂上がりのアイスなど盛りだくさん」（42歳・サービス業・神奈川県） 【訪問店舗】 ドーミーイン千葉City Soga（千葉県千葉市） 【宿泊日】 6月24日（月） 【総額】 8600円（税込み） 【総評】 温泉、サウナを完備しているだけでも十分に嬉しいが、部屋は仕事がしやすく、心地よい館内着に着替えれば、熟睡できた。無料のサービスも幅広く、満足感はかなり高い。 【GOOD】 インテリアは高級感があり、落ち着ける。お茶菓子が冷蔵庫に入っていたり、洗濯機は無料だったり、細かい部分の配慮がとにかく嬉しい。 【BAD】 「近隣のビジホと比較すると価格はいちばん高い」（地元の飲食店オーナー）。新聞のサービスがない。ホテル内の駐車場が1500円だが、ホテル真裏のコインパーキングは24時間で1000円だった。 【瀧澤の目】 開業当初から、温浴施設への飽くなき探究を続けています。ご当地メニューが豊富な和洋バイキングの朝食は、人気抜群です。漫画が読めたり、アイスが無料だったり、都心でも地方でも一貫性のあるサービスに固定ファンも多数。業界内外からも “ビジホ界No.1” の呼び声が高いです。 ■出張族5位　スーパーホテル　83票 ／ 171店舗 健康への気遣い抜群の“快眠ホテル” 「比較的新しい施設が多く、清潔感がある」（56歳・建設業・和歌山県）、「朝食が無料で豊富。料金も安い」（44歳・製薬会社・東京都） 【訪問店舗】 東京・亀戸（東京都江東区） 【宿泊日】 6月23日（日） 【総額】 5940円（税込み） 【総評】 部屋は白とグレーが基調で、清潔感がある。朝食が無料で、6000円を切るのは破格。足りないものはなく、体を休めたい、寝たいという人には最適のホテル。 【GOOD】 枕が選べるのはありがたく、部屋はシンプルで使いやすかった。Huluが無料で見放題。 【BAD】 電話機がなく、不明点があるとフロントがある2階まで下りないといけないのは不便。しかも24時以降は閉まっていた。 【瀧澤の目】 眠りに特化し、眠りを追究してきたビジホです。枕の貸出のほか、さまざまな素材や照明などで眠りを誘う研究をしています。立地でおもしろいのは、メインストリートにホテルを作らない戦略です。これも一本裏に入ると静かで眠れるという考えから。ほかと絶対的に違うのは、暗証番号でドアを開閉するのでルームキーがないこと。鍵の返却がないのでチェックアウトが不要なんです。 ■出張族6位　相鉄フレッサイン　22票 ／ 43店舗 スチーマーなど女性向けアメニティが充実 「新幹線とのセットプランがあり、乗車券の予約と同時に部屋が取れる駅前の宿として定番です」（55歳・古美術商・東京都） 【訪問店舗】 東京錦糸町（東京都墨田区） 【宿泊日】 6月24日（月） 【総額】 9990円（税込み） 【総評】 部屋は白とグレーが基調で、清潔感がある。朝食が無料で、6000円を切るのは破格。足りないものはなく、体を休めたい、寝たいという人には最適のホテル。 【GOOD】 枕が選べるのはありがたく、部屋はシンプルで使いやすかった。Huluが無料で見放題。 【BAD】 電話機がなく、不明点があるとフロントがある2階まで下りないといけないのは不便。しかも24時以降は閉まっていた。 【瀧澤の目】 眠りに特化し、眠りを追究してきたビジホです。枕の貸出のほか、さまざまな素材や照明などで眠りを誘う研究をしています。立地でおもしろいのは、メインストリートにホテルを作らない戦略です。これも一本裏に入ると静かで眠れるという考えから。ほかと絶対的に違うのは、暗証番号でドアを開閉するのでルームキーがないこと。鍵の返却がないのでチェックアウトが不要なんです。 出張族7位　スマイルホテル　19票 ／ 71店舗 「泊まる」に特化！　料金設定でファンを獲得 「安い」（48歳・宿泊業・山形県）、「チェックインが簡単」（44歳・介護関連・神奈川県）、「ポイントを現金化できる」（52歳・医療系・大阪府） 【訪問店舗】 東京日本橋（東京都中央区） 【宿泊日】 6月23日（日） 【総額】 6840円（税込み） 【総評】 激安。コインランドリーや提携駐車場は有料になる。「泊まる」に特化した潔いビジホだ。 【GOOD】 抜群の立地と価格。周辺には店も多く、出張族やインバウンド客に人気なのも頷ける。 【BAD】 ベッドやユニットバスは狭く、隣室のクシャミの音が。 【瀧澤の目】 既存のホテルをスマイルマークでリブランド。独立系ホテルがおもに加盟するポイントカード「Aカード」が使え、人気です。 「東京五輪前から、高級化したり朝食に力を入れたりといった進化が加速しています。その進化は、地方でも盛り上がっています」と語る瀧澤氏に、さらに注目する“ご当地ビジホ”を挙げてもらった。 「ホテルパコは北海道のご当地人気ホテルで、天然温泉、サウナがバッチリ。ホテルアクティブ！は中国地方と福岡にあり、朝食が無料にしてはありえないレベルです。山陰地方を中心にしたグリーンホテルモーリスは客室がシティホテル並みで、質の高さが光ります。 　マンテンホテルは大浴場や朝食のクオリティが高い北陸のご当地チェーン。ホテルフォルツァは九州で人気が出すぎて、京都や札幌などに進出した “下剋上ホテル” 。ベッセルホテルは赤丸急上昇中の全国チェーンで、18歳以下は『添い寝』なら無料ですよ」 　ビジホの高級化は進むが、安く泊まれるチャンスはある。 「今は、チープさもイメージさせる『ビジホと呼ばないで』というホテルが増えています。それでも“ビジネスホテル”という言葉を超える呼び方は出てこないんですよね」 ※店舗数は公式ホームページより。海外店舗や、別ブランドを含むものもあります（6月27日現在）。宿泊料金は覆面調査時にかかった料金です。時期、プランにより変動します。店舗により提供サービスや客室の仕様などは異なることがあります。 監修・ホテル評論家 瀧澤信秋氏 利用者目線やコストパフォーマンス重視の取材調査に定評があり、テレビ出演多数。著書に『ホテルに騙されるな！』（光文社新書）など