「思わず喉が鳴る…」ドラマの乾杯シーン後にビールCM、日テレがTVerで実現した「新しい広告」とは?
● より良い広告体験とは何か TVerから番宣まで広がる生成AI活用シーン 大仕事に一区切りがついた今、辻さんは開発したシステムに思いを託す。 「コンテクスチュアル広告で実現したいのは、視聴者の広告体験の向上です。そして、山下さんをはじめ営業の皆さんが、自信を持って売れるようになるといいなと思っています。『これは番組の視聴体験を高める広告なんです』『とにかく体験がいいんです』と胸を張って説明できるようにしたいです」(辻さん) 山下さんは、「このような広告技術は、テレビ業界全体で共有できればより効果的だ」と語る。例えば、TVerのような複数のテレビ局が共同運営するプラットフォーム上で、共通の広告プラットフォームを構築できれば、広告主にとってもメリットは大きいはずだ。 さらに山下さんは、「コンテクスチュアル広告の技術は、他にも応用できる可能性がある」という。例えば、番宣だ。番宣は自社広告なので自由度が高く、AIを活用してダイナミックに内容を変えられる余地がある。例えば、番組の内容に合わせて、AIが最適な番宣を自動生成すれば、制作者の思いをより効果的に伝え、視聴数や視聴時間を伸ばすといったことにも貢献できるかもしれない。 「下期、それお願いします(笑)」と山下さん。本当に開発されるかは、辻さんと川越さんのみぞ知ることだが、雑談や思いつきから新たな価値が生まれていく瞬間を、垣間見た気がした。
酒井真弓