急増する「ロマンス詐欺」「SNS投資詐欺」、なぜ中高年は簡単にカモになってしまうのか
ロマンス詐欺については、かつてはナイジェリアなどアフリカ諸国の「ヤフーボーイ」と呼ばれる一群がその実行犯の主流であった。あるいは日本人を名乗っていても海外在住とする者が多かった。それは「なかなか直接は会えない」という設定に信ぴょう性を持たせる効果を生み、加えて、被害者の恋愛感情を刺激し、騙されやすい心理状況を作りだしていたのである。ただし実際には日本在住の人間が絡んでいる可能性は否定できない。 一方、昨今のSNS型投資詐欺は「国内の著名人を語る」手口(かつて強盗の予兆電話で使われた手口)、政府の「資産所得倍増元年―貯蓄から投資へ」宣言から急激に増加したことなどからみて、国内のトクリュウが主体的に関与していると筆者はみている。 トクリュウの主戦場がロマンス詐欺やSNS投資詐欺に移っている可能性が高いのだ。 現在筆者が恐れるのは、ロマンス詐欺やSNS詐欺の被害に遭った人々が、「被害金を取り戻しましょう」「損を取り返しましょう」などという甘言に騙され、詐欺の二次被害に遭ってしまうような事態だ。 実際、恐れている事態は起きた。「ロマンス詐欺の被害金を回収する」とネットに広告を出していた弁護士事務所が、実は広告会社に弁護士の名義を貸していただけで、実際には弁護士資格のない広告会社が詐欺の被害者に法的助言をし、着手金を受け取っていたとして、大阪地検特捜部は、大阪の弁護士や広告会社役員らを逮捕している。 ■ 短期間に特殊詐欺を超えたロマンス詐欺とSNS型投資詐欺被害額 SNS型投資に「被害者予備軍」を誘い込むトクリュウの生息地帯は、フェイスブックやインスタグラム、マッチング・アプリ上である。実際、筆者のフェイスブックやX(旧Twitter)などにも連日のように外国人から「友だち申請」が送られてくる。 下の図を見ても、女性はインスタグラム、男性はフェイスブックを通して被害にあっていることが分かる。 かといって、オレオレなどの特殊詐欺が減った訳でもない。2023年の特殊詐欺認知件数は19,033件(+1463件、+8.3%)、被害額は441.2億円(+70.4億円、+19.0%)となっており、前年より増加している。 この特殊詐欺の認知件数と被害額に、「SNS型投資詐欺」2271件、約277.9億円、「ロマンス詐欺」1,575件、約177.3億円を単純に足すと、2万2879件、896.4億円と、膨大な被害額である。