謎の「OZA SODA」が売れている? 楽天1位を4年連続で獲得した強炭酸水の秘密
圧倒的な低価格を実現する製造戦略
それにしても、なぜ低価格を維持できているのか。この質問に対し、「商品設計・製造から販売までを全て自社で完結しているためだ」と橋本氏。 「当社ではペットボトルの製造から自社で行っていて、原料のレジンを調達して一から製造しています。他の飲料メーカーは他社からペットボトルを購入することが多いのですが、それはたくさんの空気を運んでいるようなもので運送効率が悪いんです」(橋本氏) さらに、商品展開を「水」「お茶」「炭酸水」の3カテゴリーに限定し、サイズも2リットルと500ミリリットルのみにすることで、各工程で発生するムダを最小化している。工場は東北から九州まで全国に12カ所を展開しており、これも物流費の抑制につながっている。 こうしたビジネス戦略がうまく機能し、OZA SODAのみならず全体の業績も順調だ。同社の2025年3月期 第2四半期の決算では、生産数が前期比113%、売上高は240億円で同117%、営業利益は30億円で同105%となった。OZA SODAの販売額は非公開だが、「売り上げ構成比の2ケタ台」とのこと。240億円の売り上げのうち、24億円以上となるそうだ。
次の一手は「シリカ水」、多様なニーズに対応
現状、OZA SODAは好調を維持しているが、「まだまだ拡大の余地はある」と橋本氏は話す。 「商品の品質や価格には自信を持っているのですが、ECサイトでの購入は最低でも24本のまとめ買いとなり、ここに一定のハードルがあるのかなと。一度どこかでOZA SODAに触れていただくことで、購買のハードルを下げられたらと考えています」(橋本氏) そのためにリアルで商品と触れられるタッチポイントの創出を試みているという。これまでに、食フェスでのサンプリングや駅前のキッチンカーイベントでの販売とサンプリングを実施。地道な活動ではあるが、認知につながりやすい方法を検証しながら継続していく見込みだ。 オウンドメディアやSNSでの発信も強化している。炭酸水を使ったおすすめレシピや炭酸水にマッチする食事など、飽きられないよう工夫しながら運営しているという。 次の一手としては、2025年の初頭に「シリカ水」を使ったOZA SODAの新商品を発売予定だ。ミネラル成分のケイ素を含むシリカ水は、健康や美容の効果が見込めるといわれている。シリカ水の市場はじわじわ広がっており、多様な需要に応えることで新規顧客の開拓を狙う。 市場全体の動きを見ると、サントリー食品インターナショナル(東京都港区)は新商品の「サントリー天然水 SPARKLING」を2024年3月に販売。ブランド史上最高レベルのガス圧と独自のミネラル設計で、細かく大量の高密度な泡が感じられる中味を実現し、お酒の良さを引き立てるという。 市場トップブランドのウィルキンソンは、「飲用シーン」の訴求に注力。飲用シーンで最も多いのが“風呂上がり”であることから、2024年の5~8月に複数の温泉施設とコラボしてサンプリングを実施した。 各社が独自の戦略で拡大を狙うが、OZA SODAは「低価格」と「飽きない味わい」を貫く。今後も、大衆の選択肢となるだろうか。 (小林香織)
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