中国・習近平が広東省1500社を四川省に強制大移転?沿岸部から内陸へ重要産業の工場を移し戦争準備か
■ 毛沢東の大失敗プロジェクト「三線建設」の再来か 三線建設とは旧ソ連、米国との核戦争を想定して東北部にあった軍需工業や沿海部、東部の製造業の工業基盤を中国内陸部の雲南や四川などに移転させたプロジェクトだ。 戦争の被害を受けるリスクの高い沿海部、東北地域を第一線、戦争の危険性が低い地域を第三線、その中間地域を第二線と地域分けし、中国が全面核戦争に突入することを想定して沿海部・東北が壊滅しても、内陸で抗戦できるように沿海部の工場、技術者を第三線地域に移転させ、後方基地建設を進めようとした。 だが毛沢東の三線建設は、大躍進政策に続く失策の代表だ。例えば四川省の奥地の谷間を切り開いて攀枝花鋼鉄公司を建設したり、第二汽車製造廠を湖北省西部の山奥に建設したり、特殊な軍需産業というわけでもない一般製造業まで、消費地から遠い交通インフラが未発達のへき地に移転させてしまい、結局機能しないまま挫折した。 四川省の山奥には、当時の工場廃墟が今も残っている。この三線建設を実行するために巨額の財政と人民の労働が費やされ、大躍進で疲弊し、文革で混乱した中国社会・経済はさらなる追い打ちにあったのだった。 複数の中国の公式アカウントによれば、今回の広東産業移転は、より低コストの開発環境を求める企業の経済的な決断であると同時に、複雑な世界情勢における中国の戦略的配慮を反映したもの、という。つまり、米国、台湾との対立先鋭化、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、中東戦争の激化などきな臭い国際社会の動きに対応した、習近平なりの戦争準備の可能性がある。
■ 広東省をよりハイエンドな産業の集積地に、という見方も この産業・都市移転を促進するために、国家として税制優遇措置、優先的な土地供給、インフラ投資など一連の政策を導入し、中部・西部地域がこれらの企業を受け入れることができるよう保証することを目的としている、らしい。 こうした動きについて、「東部地域の資源を内陸に解放し、広東省はハイエンドの製造業、現代的なサービス産業、情報産業の発展に集中することができ、世界の産業チェーンにおける地位を高めることができる」「四川省などの中西部に多くの雇用機会をもたらし、地域経済のさらなる上昇につながる可能性がある」「中西部地域の若者は、沿海部に出稼ぎに出て来なくとも地元で就職でき、地方は大きな発展のチャンスを得ることもできる」といったポジティブな見方もある。 必ずしも戦争を想定した準備ではなく、「この企業移転は、将来起こりうる国際的な変化に備えるためだろう」「生産能力の一部を内陸に移すことで、将来不確実な出来事が起こった場合でも、自国の産業チェーンに頼ることができるようにするためだ」という指摘もある。 実はこうした三線建設的プロジェクトのような産業移転の動きはこれが初めてではない。