週末寒気、広がる警戒 池島中能登町議が死去、ヒートショックか
●浴室で死亡、県内10年前の1.5倍 石川県内で入浴時などの寒暖差で引き起こされる「ヒートショック」への懸念が広がっている。8日、中能登町議の池島和喜夫氏(73)が急性心不全のため死去。町関係者によると風呂上がりに倒れたとみられる。俳優で歌手の中山美穂さんも同様に命を落とした可能性が指摘され、県内では浴室で亡くなる人が10年前の1・5倍と増加傾向にある。県内は週末にかけてしばらく厳しい冷え込みが続く見込みで、医師は温度変化の少ない入浴方法など対策を呼び掛ける。 ●急な寒暖差、心臓に負担 ヒートショックは、気温の変化で血圧が急激に上下することで起こる心臓や血管の疾患の総称。特に冬場は暖かい部屋から寒いトイレに移動したり、逆に寒い更衣室から熱いお風呂に入ったりして心不全や脳卒中を発症することが多い。 金沢地方気象台の記録では、8日は冬型の気圧配置となって冷え込み、中能登に近い七尾の最低気温は0・9度、最高気温は6・5度だった。 厚生労働省の人口動態統計によると、浴槽内で溺れて亡くなる人は増加傾向にある。2023年は全国で約6900人となり、10年前の13年と比較すると約1600人多くなった。石川県内でも10年間で1・5倍に増加し、昨年は79人(男性44人、女性35人)が亡くなった。 金沢市消防局の担当者はは「ヒートショックに限定した統計はないが、冬場に浴室、脱衣所での急病による搬送が増える」と説明。今年も10月に15件、11月は19件の搬送があり、降雪後はさらに増加するとみられる。 気象台によると、冬型の気圧配置はいったん緩むが、11日から12日にかけて再び強まる見込み。県内は、その後16日まで最高気温が10度を下回る寒い日が続くと予想される。日本気象協会は市町村ごとに「ヒートショック予報」を発表しており、10日以降も「警戒」を呼び掛けている。石川県内の家電量販店には浴室などの暖房器具のコーナーが設けられ、準備を促している。 ●一般質問かなわず 亡くなった池島氏は2021年3月の中能登町議補選に初当選して現在2期目。総務建設常任委員会副委員長を務めており、13日の12月定例会一般質問で登壇する予定だった。 9日に開かれた町議会予算決算常任委員会では、冒頭、町議や町職員が池島氏に黙とうをささげた後、宮下為幸町長があいさつで「七尾工高の時からの友で、残念な気持ちでいっぱいだ」と声を震わせた。