安全で堅実な投資対象となる「超優良企業」は日本に15社しかない…株価が下がっても安心な投資の始め方
■ステップ4 安定高配当銘柄のデータ一覧表の作成とその運用 ここまでの作業が終わったら、各銘柄を株価が「買いの目標株価」に近い銘柄から順に並べ直し、「安定高配当銘柄のデータの一覧表」を作成します。『1冊でまるわかり 50歳からのトレーダー入門』には、一例として2024年2月2日時点の株価で作成したこの一覧表を収録しています。この表は2~3週間に一度くらいの頻度で更新すればよいでしょう。 この表の銘柄の順番は、株価の変動に応じてかなり変動します。すなわち、表の上の方に載っている銘柄でも数週間もすると下の方に行って、その代わりに下の方にあった銘柄が上に上がってくるのです。 ですから、表の上の方に載っていた銘柄の株価が上がってきていたら、売るタイミングということです。そしてその時に、かつて表の下の方に載っていた銘柄の株価が下がってきていたら、それを買いの対象にすればよい、ということなのです。 もちろん、順調に株価が上がっていかないケースもあります。その場合には、あらかじめ決めてあった「ナンピン株価」で買い増しをします。 「ナンピン株価」はすでに述べた方法で、主に株価チャートを使って決めるのですが、もっと単純に決めたい場合には、「目標株価(最初の買い値)から1割程度下がったところ」を「ナンピン株価」にするという方法もあります。そのくらいまでの下落は前もって想定しておき、下がっても売らずに買い増しをするのです。 そしてこのようにナンピン水準まで株価が下がった場合も、株価が戻ったら徐々に売り上がっていきましょう。株価がトントンかプラスになるのを待って、そこで売り抜けていくのです。トントンかプラスでしか売らないので、負けることはないわけです。
■この手法なら株価が下がっても安心していられる もしも半年や1年といった比較的長い間、塩漬けになったとしても、手取りで「3~5%」の配当利回りは確保できていますので、利息代わりに配当をもらうと考えれば、それはそれで(「年率3~5%」の)手堅い運用にはなっているのです。ですから、株価が下がっている銘柄も安心して持ち続けることができます。 実は株価というのは、下がることを恐れるものではありません。株価が下がれば下がったなりの対処の仕方はありますし、下がったものは通常は上がります(下がり続ける株はありません)。 ただ「株価が少ししか動かない」状況が、実は一番困ります。対処のしようがないからです。というわけで、私が怖いのは「株価が下がること」ではなく、「株価が少ししか動かないこと」なのです。 かなり詳しく説明しました! おわかりいただけましたでしょうか? あとは、「実践あるのみ!」です。 ---------- 榊原 正幸(さかきばら・まさゆき) 会計学博士 1961年、名古屋市生まれ。名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。東北大学経済学部助教授、同大学院経済学研究科教授、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授を経て、21年3月に退任。現在はファイナンシャル教育の普及活動を続けている。著書に『株式投資「必勝ゼミ」』(PHP研究所)の他、『現役大学教授が教える「お金の増やし方」の教科書』(PHP研究所)、『会計の得する知識と株式投資の必勝法』(税務経理協会)などがある。 ----------
会計学博士 榊原 正幸