ピムコ、さらなる米地銀破綻を予想-商業用不動産向け融資が集中
(ブルームバーグ): パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、米国の地方銀行の破綻が今後も起こると予想している。問題を抱えた商業用不動産ローンが地銀のバランスシートに集中していると指摘した。
ピムコのグローバルプライベート商業用不動産チーム責任者、ジョン・マレー氏はインタビューで、ショッピングモールやオフィス向けローンの貸し手にとって「本当のディストレスの波は始まったばかりだ」と語った。同氏の部門はピムコの1730億ドル(約27兆2000億円)規模のオルタナティブ事業部門に属している。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期を巡る不透明は、商業用不動産セクターが直面する問題を悪化させている。借り入れコスト上昇が物件の評価額を押し下げデフォルト(債務不履行)を引き起こし、貸し手は売れない資産を抱えることになっている。
マレー氏によれば、大手銀行は市場の予想に反して、損失の拡大を避けるためにより質の高い資産の一部を先に処分している。「しかし、満期が近づき問題債権が増加するにつれ、銀行はエクスポージャーを減らすため問題の大きい債権を売却し始めると予想している」と同氏は語った。同氏のチームは過去1年半、大手銀行が処分する商業用不動産向けローンを購入しているという。
この混乱は特に地銀に大きく影響している。地銀は商業用不動産ローンへのエクスポージャーを増やしたが、多くの場合不動産の価値はピーク時の数分の一に落ち込んでいる。昨年の複数行の破綻以来、中小銀行は投資家の不安の種になっている。資産規模で最大の地銀であるUSバンコープは、1-3月(第1四半期)の貸倒引当金繰入額を5億5300万ドルに増やした。
MSCIリアルアセットが3月に発表したリポートによると、地銀は近年、商業用不動産関連の借り手に対して追加の頭金支払いを要求しなかったため、価値下落に対する脆弱(ぜいじゃく)性が大きい。預金取扱機関は今年、推定4410億ドルの不動産向けローンの満期に直面している。