ファンサービスで中日松坂を襲った最悪悲劇を繰り返さないための手段はあるのか?
恐れていた最悪の事態が起きた。中日の松坂大輔(38)が沖縄・北谷キャンプでファンに右手を引っ張られたことで、肩に違和感を覚え、キャッチボールさえできず開幕に向けての調整の軌道修正を余儀なくされることになったのだ。ただでさえ米国永住権取得の手続きで緊急渡米するなどしてキャンプでの調整が遅れていたが、今回の事件で開幕からのローテー入りはほぼ絶望的だろう。 右肩に不安を抱えている松坂だけに、急に腕を引っ張られるなどすれば、影響は出る。投手によれば、利き腕で物を持たない、利き腕を下にして睡眠をとらないほど気をつけているし、1989年には、オリックス時代の門田博光氏がホームランを打った後、出迎えのブーマーとハイタッチをして右肩を脱臼。1週間戦線離脱したことがある。プロ野球選手は屈強に見えるが、それほど体のメカニズムは繊細なのだ。 中日はサインの転売問題にも悩まされ4日には公式サイトに異例のお願いを掲載する事態になっていた。球団サイドは、「最悪の場合、サイン禁止になるかもしれません」と語っていたが、今回は、“直接被害”。“モンスターファン問題”は、ついに最悪な形にまでエスカレートしてしまった。 ネット上もこの問題についての様々な声であふれた。 「ファンじゃなくて暴漢とか暴徒と一緒」、「球団は、その損害賠償を請求すべき」 悪質行為をしたファンへの非難と、同時に今後の再発防止策として、サイン禁止を訴える意見も多かった。 「できればやってほしくないけど、キャンプ中はサインも握手も一切禁止にしたほうがいい」 「プロ野球の人気向上のため、ここ最近のファンサービスは各球団とも素晴らしいものがあるけど、見直すべき」 「礼節のあるファンには残念でならないけど、性善説に基づいてのファンサービスは見直したほうがいいと思う」 キャンプで何球団か回ってきたが、各球団共にファンサービスは年々、手厚くなっている。しかも、その接触場所やタイミングも工夫されていて、ロッテの沖縄・石垣島キャンプでは、選手が宿舎へ帰るための車に乗る場所付近に柵を作ってサイン可能なスペースを確保。横浜DeNAの沖縄・宜野湾キャンプでも、今年から新設したグッズ売り場付近にサインスペースを作った。練習後だけでなく、時間の空いた選手が随時、その場所でサイン、握手、写真撮影などに応じている。 矢野監督がファンサービスを推し進めている阪神の沖縄・宜野座キャンプでも、サインスペースが2か所ほど設けられ、ファンは、そこに行儀よく並んでいる。 ファンとの確実な接触場所と機会を設けることで、ファンの暴走を回避することになっているが、接触機会が増えれば危険も増す。警備員を配置するなど各チーム共に選手の安全を確保するための手段は講じているが、いつ何が起きるかわからない。 阪神などは選手の宿泊ホテルに同宿して共有スペースや大浴場などで待機しているファンまでいて、球団もその対処に苦慮している。