若年化進むロサンゼルスVS保守的なニューヨーク アメリカの美容医療トレンドは西から東へ
美容医療に関しては、ロサンゼルスで流行したものがニューヨークにも波及する傾向が顕著だ。近年ロサンゼルスで生まれた、僧帽筋(そうぼうきん)へのボトックス注射“肩ボトックス”は代表例。バービーのように華奢な肩のラインを目指す施術は“バービー・ボトックス”とも呼ばれ、西海岸から東海岸へと広がった。目の下のたるみやくまを改善すべく、自身の血小板から再生した組織をヒアルロン酸などの代わりに注入する手法もロサンゼルスで人気を博し、ニューヨークでも需要が高まっている。 【画像】若年化進むロサンゼルスVS保守的なニューヨーク アメリカの美容医療トレンドは西から東へ
両都市で人気の美容医療サービスを取り扱うメディカルスパ予約アプリ「アップキープ(UPKEEP)」のティファニー・デマーズ(Tiffany Demers)創設者兼CEOは、米国の美容医療市場について、「実験的な市場のロサンゼルスが一歩先を行き、美容整形のメッカとなっている」と説明する。
若年化し男性利用が増えるロサンゼルス
美容医療サービスの利用者は、平均年齢の高いニューヨークに対し、ロサンゼルスでは若年層が多い。「彼女たちは18~20歳ごろから唇へのボトックスなどを試し始め、25歳ごろからは眉間や額、目尻などの小ジワにもボトックスを注射する」という。
さらにロサンゼルスでは、男性の美容整形への関心も高まっている。デマーズCEOによれば、ロサンゼルスでは同アプリのユーザーの30%が男性であるのに対し、ニューヨークではわずか5%。とは言え「両都市で男性の利用者が増加しつつある。育毛治療に関する選択肢が増え、レーザー育毛やエクソソーム療法(再生医療)の台頭により、外科手術や植毛治療大国で知られるトルコに行く必要がなくなってきている」。
医師への信頼が厚いニューヨーク
市場が飽和し競争が激化する中で、ロサンゼルスでは料金設定も手頃だ。例えば上述した目の下に血小板由来の組織を注入するPRF治療は、ロサンゼルスでは約600ドル(約9万5400円)の一方、ニューヨークでは約900ドル(約14万3100円)と割高だ。また、ロサンゼルスでは美容看護師や診療看護師を積極的に活用する一方、ニューヨークでは多くの人が皮膚科医や医師による処置を求め、医療機関やクリニックでの施術を好む。