ISS、宇宙ゴミ回避でスラスター噴射–2015年に停止した気象衛星の一部が接近
国際宇宙ステーション(ISS)が推進装置(スラスター)を噴射して宇宙ゴミ(スペースデブリ)を回避したことを米航空宇宙局(NASA)が米国時間11月19日に発表した。 スラスター噴射は、ISSにドッキングしているロシアの無人貨物船「Progress」(プログレス)で実施された。5分半実施されたエンジン操作は、潜在的に危険となりうるデブリを回避するのが目的だった。 「“事前に決められたデブリ回避操作(Pre-determined Debris Avoidance Maneuver:PDAM)”は、NASA、Roscosmos、その他のISSパートナーとの連携のもと実施された」とNASAは報告している。「この操作がなければ、デブリはISSからおよそ4km以内に接近していた可能性があると、弾道学の担当者は推測していた」 NASAによれば、今回回避したデブリは「2015年に機能を停止した防衛気象衛星」の一部だったという。ISSの回避噴射は年々増加しており、2023年3月には1週間で2回のデブリの回避を実施した。2022年12月に発表されたNASAの分析によると、ISSは1999年以来32回の回避操作をした。 デブリは、ISSが周回する地球低軌道では秒速7~8km(時速にして3万km弱)で周回している。ライフル銃の弾丸スピードが秒速1kmであることを考えると、その威力はすさまじい。実際、ISSの機体には微少なデブリによる穴が空いている。
塚本直樹