《2010年NHK紅白で『トイレの神様』熱唱の植村花菜》フルで9分52秒の名曲が7分50秒に縮小された理由「すべて歌えないのなら出場できなくても」
「楽屋は個室だったので、他の出演者さんと一緒ではありませんでした。本番当日の朝はいつも通りしっかり自宅のトイレ掃除をして出かけ、緊張せず歌いきることができました」 その後の植村さんの年末は、紅白を見ながらの年越しなのだろうか。 「年末はたいていお仕事が入っていて、ほとんど見られなかったですね……。我が家は子どもが小さいうちはテレビをあまり見せない教育方針なので、家でのんびりテレビを見るという習慣があまりないんです」
アメリカで「トイレの神様」を理解してもらう難しさ
現在は米ニューヨークを拠点に、米国と日本で音楽活動を継続している植村さん。取材の際は一時帰国中で、実家のある兵庫を拠点に日本各地へ出かけクリスマスイベントやテレビ番組などで歌い、ラジオ番組にも出演。もちろん、名曲『トイレの神様』は各所で歌い続けている。 「『トイレの神様』は私と亡き祖母との実話をもとに作った歌です。いつも祖母のことを思い出しながら歌っているので、何度歌っても飽きることはありません」 米国ではインディアナ、ニュージャージーなど、全米各地で開催されるイベントから声がかかったり、ニューヨークのライブハウスでソロライブを行ってきた。 「日本での活動のほうがまだまだ多いですが、2024年の11月には『スター・トレック』などに出演してこられた日系アメリカ人の俳優ジョージ・タケイさんを讃えるイベントにお声をかけていただき、フィラデルフィアで開催された米国人向けのイベントに出演させていただきました。3年前にリリースしたミニアルバム『それでいい』に収録していた『Space』という曲を気に入っていただけたようで、私のウェブサイトにご連絡をくださいました」
『Space』は曲のサビは英語で、それらが米国人にも馴染みやすかったようだ。『トイレの神様』はすべて日本語だが、ぜひ米国人にも親しんでもらいたい。 「文化の違いがあるので、難しいところですよね。一神教を信仰されている方々には“トイレに神様がいる”というのは理解しづらいでしょうし、アメリカでは学校のトイレ掃除は生徒ではなく業者さんがやるので、使う人が自分でトイレをしっかり掃除をするという文化は日本のようにはないと思います。 ただ、祖母との思い出や家族との絆は万国共通のはずなので、その部分は共感していただけるんじゃないかと思っています。サッカーW杯で客席を掃除した日本人サポーターが話題になったように、『トイレの神様』はキレイ好きな日本人ならではの曲ですから、日本の文化のひとつとして理解して聞いてもらえたら嬉しいですね」 (第2回に続く) 取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/小林忠春
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