需要高まる「焼きのり」 弁当に贈り物に、おいしさ再発見
■漁場で異なる風味
漁場ごとに異なるおいしさを味わってほしい-。コーヒーに代表される、農場単位で銘柄化した「シングルオリジン」と同じスタイルで提供している。
「山からミネラル豊富な水が川を伝って海へ流れ込むと筋が入る。その『川筋』に位置する漁場で育つノリは、よりうまみを増す。さらに、同じ漁場の中でも100メートル離れれば味も香りも変わる。それほど繊細なのです」
沼田さんにすすめられるまま、試食用ののりを食べ比べてみた。酸味のあるもの、舌の上でとろりと溶けるもの…。個性は千差万別。和食に限らず、幅広い料理人が足しげく通うのもうなずける。
今年も沼田さんは買い付けのため、現地で行われた入札会に出向いた。先月末の佐賀、福岡は「海水温が高かった影響もあり、全体的に初摘みはかための傾向でした」としたうえで、「パリッとしっかりめの食感が好きな方に。巻きずしなど巻き物に向いています」とすすめている。(榊聡美)