世界3位のUSJ社長が語る「三方良し経営」
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)社長CEOのJ.L.ボニエには日課がある。空き時間を見つけて、ふらっとユニバーサル・スタジオのパーク内にくり出し、ハリー・ポッターやミニオンなどのエリアを気の向くままに散歩するのだ。 「パーク内を歩き、アトラクション以外でも何が起きているのかを自分の目で見るようにしています。毎日のように来てくれるゲストもいるので、そうした人たちともあいさつをかわしたり、自分の気分が落ち込んでいるときなどはゲストの笑顔を見て元気をもらうこともあります」 2023年は、年間の来園客数が前年比で約3割増え、1600万人をマークしたUSJ。米テーマエンターテインメント協会とコンサルティング会社AECOMが発表した世界のテーマパークについてのリポートで、USJは世界第3位のテーマパークにランクインし、アジア地域では第1位に君臨する。その理由に、ボニエはまず人をあげた。「ここ数年は特に調子がいいと感じていますが、それを支えているのはパッションのある約1万2000人のクルー(従業員)です。来場客と接するクルーはもちろんのこと、裏で支えるオフィスのクルーは何がはやりそうかを把握するのに長けています」 その言葉の通り、USJのオフィスには、壁に大きく「CREW is the No.1 ATTRACTION!」というミッションが書かれている。 USJの躍進の理由はほかにもある。「スーパー・ニンテンドー・ワールド」など日本のアニメやゲームのキャラクターのアトラクションの人気が貢献している。「今力を入れているのは、スーパー・ニンテンドー・ワールドで、パーク内を散歩する際もその様子を気にしています。ここは今年ドンキーコングのアトラクションを追加予定です」 ボニエは、USJは単なるテーマパークではなく、人々が集まる「コミュニティ」として受け入れられているという。高校生が放課後に立ち寄って遊んで帰るといったことも多い。それができる背景には、多様な入園チケットの選択肢も一役買う。非常にリーズナブルな年間パスのおかげで、全国からのリピーターだけでなく、地域でも多くの若者が気楽に足を運び、コミュニティの一部となっている。 USJはここまで順風満帆だったわけではない。大阪市の第三セクターの運営で開業した後、しばらくすると集客数が低迷。経営権を引き継いだ米投資銀行のゴールドマン・サックスが経営を立て直した。2015年には米NBCユニバーサルが買収し、それに合わせてボニエがCEOに就任した。