自民半導体議連、山際元経済再生相を会長に選出-甘利氏は名誉会長に
(ブルームバーグ): 自民党の半導体戦略推進議員連盟は19日、総会を開き、山際大志郎元経済再生相を会長に選出した。山際氏は先の衆院選で落選した甘利明元幹事長の後任。関芳弘事務局長が記者団に明らかにした。
同議連を2021年に立ち上げ、政府の半導体支援を主導してきた甘利氏は名誉会長となる。山際氏はともに経済安全保障議論を進めてきた中心メンバーで、政府支援が途切れることがないよう甘利氏の役割を引き継ぐ。幹事長には小林鷹之元経済安全保障担当相が就いた。
石破茂首相は11日の会見で、2030年度までに半導体や人工知能(AI)分野に10兆円以上の公的支援をする方針を明らかにした。ラピダスが27年に量産を開始するのを念頭に、官民投資を引き出すための新たな支援フレームを策定し、22日にも閣議決定される経済対策に盛り込む。
関氏は、外貨を稼げる産業を国内で育成するには「最先端の分野で勝負していくしかない」とし、半導体はその強力なツールになり得るとの認識を示した。その上で、「今後の産業においてチョークポイント(サプライチェーンの要衝)になり得るところであり、どんなことがあっても成功させ、勝ち抜いていくしかない」と語った。
半導体議連は、ラピダスへの最大限の支援継続などを求める「異次元の支援による我が国半導体産業復活に向けた決議」を取りまとめ、近く政府に提出する。
総合経済対策の素案によると、政府は次世代半導体量産に向けた金融支援実施に必要な法案を25年の通常国会に提出する方針。今後10年間で50兆円を超える官民投資を誘発するという。議連は資金調達スキームの詳細設計の議論を本格化する。
複雑な資金調達
政府の素案では、次世代半導体研究開発やパワー半導体量産投資等への補助金や委託費として6兆円程度、同量産投資やAI活用に向けたデータセンター整備への出資や債務保証として4兆円程度を予定している。
財源は政府特別会計(特会)の活用で2.2兆円、基金からの国庫返納金や商工組合中央金庫の株式売却収入1.6兆円で確保する。このほかGX経済移行債(GX債)の活用や基金見直しによる国庫返納金で2.2兆円をねん出する。債務保証は特会からの出資やGX債の活用を想定している。