また若手騎手の不祥事…永野猛蔵騎手、長期のスマホ不正使用と親戚への予想行為発覚で引退 JRA「調整ルームの運用厳しい方向に」
JRA(日本中央競馬会)は13日、永野猛蔵騎手(22)=美・伊藤圭=から騎手免許の取消申請があり、同日付で取り消したと発表した。同騎手は通信機器の不正使用で騎乗停止処分を受けていたが、新たに親戚に対して中央競馬の予想行為を行っていたことが判明した。 ◇ スマートフォンの不正使用問題に揺れるJRAに、またしても激震が走った。10月の藤田菜七子さんに続き、若手有望株の永野騎手が突然の引退。しかも、親戚に予想行為を行っていた事実が明らかになった。 永野騎手は10月5、6日にかけて東京競馬場の調整ルーム内に通信機器(スマホ)を持ち込み、調教について厩舎関係者などと通信を行っていたとして、同8日から裁定委員会の議定があるまで騎乗停止となっていた。 この日、第1回の裁定委が開かれ、昨年5月26日から今年10月6日まで1年4カ月にわたり、継続的に調整ルーム内でスマホを使用し、別のスマホをロッカーに預ける偽装工作を行っていたことが判明。また、調査の過程で自身の骨折休業中に、親戚に対して勝馬投票券の予想行為を行っていたことが確認された。 これらの事実を踏まえ、裁定委は10月8日から来年10月7日まで1年間の騎乗停止処分を決定。本人に申し渡したところ、免許取消の申請があり、受理された。永野騎手はデビュー4年目。7月にJRA通算100勝を達成するなど、将来を期待されていた。 JRAは予想行為について、該当競走に所属厩舎の馬が出走しておらず、対象馬についても過去に騎乗したことのない馬だったと説明。競馬の公正確保には触れないものの、遵守事項には抵触していると判断した。永野騎手からはこの日以前に引退の意思が示されていたが、JRAは予想行為に関して、さらに重い騎手免許取消に相当する可能性もあったことから、裁定委の議定が出るまで受理しない判断を下していた。 JRAでは昨年以降、禁止エリアでの通信機器使用の不祥事が続発。JRAは「今後、調整ルームの運用体制についてさらに厳しい方向に進んでいくと思う。通信機器に関しても(農林水産省の)競馬監督課からも強い指導をいただいており、そういった方向に向かわざるを得ない」(赤井誠・美浦トレーニングセンター公正室長)と、さらなる取り締まりの強化も念頭に運用を見直す方針だ。 ■永野 猛蔵(ながの・たけぞう) 2002(平成14)年9月8日生まれ、22歳。新潟県出身。21年3月に美浦・伊藤圭三厩舎からデビューし、同年3月6日の中山3R(タマモヒップホップ)で初騎乗初勝利。デビュー年は29勝を挙げ、民放競馬記者クラブ賞を受賞した。JRA通算2501戦111勝。