サンフレッチェ新スタジアムで広島中心地が激変 ファミリー層や若者を取り込んで街全体が活況に
顕著な例が、6月28~29日に行われた「日本肝胆膵外科学会」。ピッチ上に特設ステージが組まれ、壇上で専門医が研究発表し、スタンドに座った約600人の国内外の医師が聞く形式。大型映像装置を使って詳細な手術シーンも流され、好評を博したという。 このように多彩な使い方で「稼げるスタジアム」にしていくのは、欧米では当たり前の考え方。欧州にはショッピングセンターや病院、老人ホームを併設するスタジアムもある。広島の新スタジアムはそこに一歩近づいた日本屈指の最新鋭施設なのは間違いない。
■新スタジアム効果で売り上げは1.8倍に 広島より8カ月遅れて今年10月にはJR長崎駅近くに長崎スタジアムシティも誕生。こちらはショッピングセンターや飲食店、ホテル、テナントが一体となった施設で、同じ年に西日本の2大平和都市に素晴らしい拠点が生まれたのは意味あること。クラブ経営にも大きく寄与していくに違いない。 実際、広島の2023年度の売上高は41億9800万円だったが、2024年度は約1.8倍となる75億円を突破する見通しだ。75億円という数字は、2023年度ベースで見ると浦和、川崎フロンターレに続くリーグ3位。2024年度の実数がまだ出ていないため、未知数な部分もあるが、今季の広島の経営規模がリーグトップ5入りするのは確実とみてよさそうだ。
「とはいえ、サンフレッチェの31年間は赤字の歴史。2023年もスタジアム独自の設備投資に加え、2023・2024年に是が非でもタイトルということで大型補強を進めたため、8億円の赤字を計上しています。2024年の大幅増収でようやく一息つける状況にはなりましたが、今季も選手補強に資金を投じているため収支はトントン。そこまで余裕があるわけではありません。 現時点で毎試合満員という状況なので、2025年以降も大幅増収が続くというのは難しい。スポンサー収入のさらなるアップに尽力していくしかないですが、ポテンシャルがあるのは女子チームのレジーナのほうだと思います。