同性婚の実現を訴え涙する原告の女性＝ソウルで2024年10月10日午前11時22分、日下部元美撮影

　同性カップルの婚姻届を不受理にするのは憲法が保障する婚姻の自由や平等権に反するとして、韓国の11組のカップルが11日にソウル西部地裁などに一斉提訴する。憲法裁判所に対しても審判請求をする予定。受理されれば、初めて憲法裁が審議することになる。 【図解】日本の同性婚訴訟、割れた判断　5地裁の判決は? 　アジアの同性婚は台湾、ネパール、タイで法制化されている。 　韓国の憲法では「婚姻と家族生活は個人の尊厳と両性の平等を基礎に成立して維持されなければならない」としている。2014年5月に初めて「法に同性間の婚姻を禁止する条項はない」などとして男性カップルが提訴したが、ソウル西部地裁は原告の訴えを棄却した。今回は憲法裁への審判請求など、前回とは訴訟戦略を変えて提訴に踏み切った。 　原告の孫文淑（キムムンスク）さん（38）は10日に開いた記者会見で、「韓国社会に存在する普通の市民として、他の人々のように私が愛する人と既に家族として生きているということを見せたかった」と提訴した理由を述べた。更に「誰もが結婚を望んでいるわけではないが、望むなら性的指向やアイデンティティーに関係なく結婚を選択できるようにすることが重要だ」と述べた。 　同性カップルを巡っては、今年7月に大法院（最高裁）がパートナーが加入する健康保険の被扶養者資格を認める判決を言い渡すなど変化が生まれている。 　世論調査会社「韓国ギャラップ」が23年5月に発表した世論調査では、同性婚の法制化について、反対51％、賛成40％だった。13年は反対67％、賛成25％で、同性婚への理解は徐々に進んでいる。今回の訴訟の代理人弁護士は「同性婚の賛成率が高まっており、アジアの他の国でも変化が起きている。こうした変化が判断に影響する可能性がある」と強調した。【ソウル日下部元美】