仏中銀総裁、ECBは7月の利下げを排除すべきではない-報道
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は6月と7月両方の会合で利下げをする可能性を排除するべきではないとの考えを、政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁が示した。連続利下げには慎重な一部メンバーをけん制した。
ビルロワドガロー氏はドイツ紙ベルゼン・ツァイトゥング(BZ)とのインタビューで、「既定路線」となっている来月の中銀預金金利引き下げの後には「最大限のオプショナリティー(選択性)」を望むと述べた。
「利下げは四半期に1度、新たな経済予測が出そろった時だけにすべきであり、従って7月は除外すべきだという議論を時々見かける」が、「会合ごとにデータ依存のアプローチを取るのならば、どうしてそうなるのか。7月利下げについて今からコミットすべきだと言っているのではない。しかし、利下げのタイミングとペースについての自由度は維持しておこう」と語った。
ほとんどの当局者は6月利下げに同意しているが、賃金上昇とサービスインフレが後退せず、中東の緊張がエネルギー価格を押し上げる恐れがあり、米国の利下げが遅れているため、6月以降について約束することには総じて消極的だ。
それでも、タカ派寄りのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は24日ブルームバーグテレビジョンに対し、ECBの2回目の利下げは恐らく9月まで待つ必要があるとの見方を示した。
市場でも今月、利下げ予想が後退し、市場が完全に織り込む2024年の利下げは0.25ポイントずつ2回のみとなっている。7月は据え置きが見込まれている。
ビルロワドガロー氏は、ECBには2-2.5%とされる中立的な金利水準に向けて金利を引き下げる「大きな余地」があると指摘。政策金利の最終的な落ち着き先についての市場の予想は「不合理ではない」と述べた。現在は、5年後に2.8%程度のターミナルレートが想定されている。
ECBチーフエコノミストのレーン理事は27日ダブリンで講演し、ECBは金利引き下げの「特定のスピード」にコミットしてはいないと述べた。「景気抑制の適切な度合いと期間を決定するため、引き続きデータに依存し、会合ごとのアプローチに従う」と繰り返した。