特別展「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」が山種美術館で開催! 屈指の“ゆるかわアイドル犬”も再び登場
江戸時代の浮世絵師・歌川国芳は、常に5~6匹の猫を飼い、絵を描くときにも懐に猫をいれていたほど無類の猫好き。《其まゝ地口猫飼好五十三疋》(個人蔵)は、「東海道」の宿場名を「みょうかいこうごじゅうさんびき」とダジャレで猫化したもの。「日本橋」は“2本のかつおぶし(だし)”で「ニホンダシ」に、「品川」は“白猫の顔”で「白かお」に……と、さまざまなポーズのニャンコたちが、五十三次ならぬ“五十三匹”描かれています。
ちなみに「僕は断然、猫派です」という山下さんが一番楽しみにしていた作品が、ムッシュフジタこと藤田嗣治が女性と4匹の猫を描いた《Y夫人の肖像》(株式会社三井住友銀行蔵)。自画像やポートレート写真にもたびたび猫が登場し、サインの代わりに猫を描くこともあったほど猫好きだった藤田が描く猫は、上向きであごをつきだしているのが特徴。また活躍中の現代美術家、山口晃の水墨画《捕鶴圖》(山種美術館)は、「鶴」と「猫」という2つのお題から即興で描いた席画だそうですが、擬人化された猫たちの個性も描き出しています。
「その画家がどのくらい犬好きなのか、猫好きなのかを考えながら作品を見るといい」と、山下さんが鑑賞のポイントを解説していたのですが、確かに犬と猫への画家の愛があふれ出しているような作品から、わりと冷静に客観的なまなざしで対象を描いているなと感じるものまで、さまざま。バラエティに富んだ多彩な作品が一堂に会した同展は、7月7日まで開催です。 ■information 特別展「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」 会場:山種美術館 期間:5月12日~7月7日(10:00~17:00)※月曜休/会期中、一部展示替えあり 料金:1,400円/大学生・高校生1,100円/中学生以下無料(付添者の同伴要)、障がい者手帳、被爆者健康手帳を提示の方、および付添者1名まで1,200円
佐々木 ヒサ