まきを背負って駆け上がれ 中央アルプス「西駒んボッカ」
まきを背負って中央アルプス西駒山荘(2690メートル)へ駆け上がる大会「中央アルプス西駒んボッカ」が8日、伊那市横山の鳩吹(はとぶき)公園(940メートル)をスタート地点に開かれた。大会は今年で10回目。県内外から過去最多の258人がエントリーした。リピーターも多いと聞き、どのような魅力があるのか知りたくて記者も参加した。 【写真】中央アルプス「西駒んボッカ」で、ゴールの西駒山荘に到着した参加者(中央)
記者も参加 ゴールは標高2690メートル
山岳関係者でつくる「西駒こまくさ会」の主催で、2013年に始まった。ボッカは、山小屋などに荷上げをする「歩荷」にちなむ。背負うまきの重さで3キロと15キロの二つのクラスがある。運んだまきは山荘のまきストーブの燃料として使う。 7日夜は鳩吹公園で「前夜祭」のバーベキューを開催。コロナ禍前の19年以来だ。初対面の参加者同士でテーブルを囲み、肉やビールで翌日の「エネルギー」を補給。5回目の参加となる松本市赤怒田の会社員矢野政孝さん(60)は「やっぱり前夜祭が大会の魅力だね」と話した。
一気にペースダウン 最後はへろへろ
翌朝は午前6時半に出発。山荘までの距離は11・6キロ、標高差も1750メートルと過酷な道のりだ。記者は3キロのまきを背負って参加した。コースの半分は舗装してあり、桂小場(かつらこば)登山口(1260メートル)から本格的な山道に入る。舗装路で飛ばした記者は山道で一気にペースダウンし、最後はへろへろになってゴール。タイムは3時間13分21秒で、同じクラスの123人中35位だった。 大会スタッフにまきを手渡した瞬間は達成感があった。重さ15キロのクラスを完走した矢野さんは「まきを下ろした時の解放感がいい」。その言葉に深く共感した。前回大会で15キロのまきを背負って優勝し、今回も2位になった群馬県伊勢崎市の会社員松本陽介さん(43)は「自分の運んだまきが登山者の体を温めていると思うと、頑張れる」。リピーターが多い理由が分かった気がした。
島岡太郎