マリーゴールド石川奈青 心機一転、元スターダム&元アクトレスに挑む覚悟
「プロレスラー石川奈青として輝いているところを見せていきたい」
ではこのとき、石川自身は今後についてどう考えていたのだろうか。他団体移籍やプロレスから去る選択肢もあったのか。 「どうなんでしょう? そのときは、とにかく現状から一度離れたいという思いしかなかったです。引退? 引退というほど何かをやり遂げたわけではないですし」 結果的にフリーになった石川は、昨年5月12日にスターダムの若手ブランド「NEW BLOOD」に登場。しかし、その姿は石川奈青ではなく、“ニセ中野たむ”だった。ホンモノ中野たむとのシングルマッチに挑んだニセモノ。新たなる一歩となるはずが…。 「あの試合は悔しい思いが大きかったですね。結局、試合で何かを残さないと意味がない。自分の弱さを突き付けられました」 やはり、自分らしさを発揮してこそということか。その後、石川は元アイスリボンの世羅りさが主宰するプロミネンスに登場する。 「世羅さんが気概のある後輩を募集しているというのを知って、これはいくしかないと、参戦を直訴させてもらいました。世羅さんの知ってる石川とはちょっと違うぞというところを直接伝えたいなと思って」 とはいえ、世羅との再会はハードコアマッチ。石川には初体験の試合形式だ。 「(ハードコアを)やりたい気持ちはずっとあったんですよ。実際にやってみて、すっごい楽しかったです。楽しいって変な表現かもしれないけど、やりがいがありましたね、生きてるって感じがして」 「気概」が世羅に認められ、石川はプロミネンスにレギュラー参戦。とはいえ月一開催で、ほかの試合も限定されている。試合数は減ってしまったが…。 「いままでは試合をこなすことで精いっぱいで日々が流れてしまうような感じだったので、プロミネンスに上がってからは一試合一試合にきちんと向き合って大事に闘っていこうという気持ちが大きくなったと思います」 そんななかで、石川は新団体マリーゴールドへの参画を決めた。前述したように、スターダム離脱組のなかに、たった一人で乗り込む形だ。 「新団体が設立されるとの話を聞いて、自分の意志で決めました。プロミネンスの興行が不定期になるタイミングでもあったし、自分ってやっぱり団体に所属してやっていく方がいいのかなって。試合に出るだけじゃなくて興行をみんなで作り上げていく。そういう方が魅力的だし、そういうものに携わっていきたい。新団体っていう機会もめったにないと思うので、ぜひやりたいと思いました」 しかしながら、顔ぶれを見ると元スターダム勢で占められている。奈七永もスターダムの旗揚げメンバーで、最近もフリーとして参戦、若い選手にパッションを注入してきた。 「だからこそ怖くもあり、楽しみでもあり。対戦したことのない選手ばかりなので、違う自分も発見できたらと思います。ジュリアさんとは(19年8・16上野で)一度だけエキシビションでやってて、怖かったイメージがありますね。ただ、練習ではけっこう厳しく言ってくださって、それって優しさなんですよ。気にかけなければ放っておけばいいわけだし、細かいことまでアドバイスしてくださいました。こんどは正式なレスラーとして、ジュリアさんと試合がしたいと思います」 ジュリアを筆頭に、スターダム退団組全員と試合がしたいという石川。ところが、旗揚げ会見で元アクトレスガールズ勢が登場。後日、旗揚げ戦での青野未来vs石川奈青のシングルマッチが発表された。元スターダム勢に入るだけでも相当の覚悟が必要だが、そこに元アクトレスが加わる。単身乗り込んだ石川には早くも存在感のピンチである。 「(アクトレスの加入は)知らなくて驚きました。私は自分の意志で退団し自分の意志でここ(マリーゴールド)に来ましたけど、向こうはみんなで来てみんなで『お願いします』という感じ。そこに自分の意志はあるのかなという感じはすごいしますね。意識ですか? もちろん、意識します」 ポスターでは青野が元アクトレスから抜てきされたような感じで上段に配置され、石川はほかの元アクトレス勢と並び下段へ。しかも右隅に追いやられたような形だ。意識どころか強烈なジェラシーが沸き上がってもおかしくない。旗揚げ戦で闘う青野とは20年7・25後楽園で初遭遇&初シングル、11・16後楽園でタッグを組み、雪妃真矢&桜井まい(現・桜井麻衣)組と対戦した。 さらに21年8・28後楽園ではこの2人で世羅&雪妃組のインターナショナルリボンタッグ王座に挑んだ間柄だ。が、青野は団体の方針により事実上プロレスから離れた。その間、石川には目立った実績こそないもののプロレスキャリアを積み上げてきた意地がある。青野の“プロレスラー復帰戦”に華を持たせるつもりは毛頭ない。石川にとっては、むしろここからがレスラーとしての本番と言っていいだろう。 「そうですよね。いままでよく不遇と言われたし、何もできてこなかったですけど、これからマリーゴールドの石川奈青として、プロレスラー石川奈青として輝いているところを見せていきたいと思います!」 インタビュアー:新井宏
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