マクラーレンが誇る軽量化がもたらした「洗練」の片鱗。 【750S公道試乗】
マクラーレン史上もっとも軽量かつパワフル
従来型から出力を30ps、トルクを30Nmアップしたマクラーレン750S。そのスペックにばかり注目していると、このスーパーカーの本質を見失うことになるだろう。実際にハンドルを握り、エンジン音を聞き、ワインディング路を走ると、マクラーレンのエンジ二アリングの素晴らしさの片鱗を感じることができる。(Motor Magazine 2024年2月号より) 【写真はこちら】750Sの持つ性能のすべてを解放するのは公道では無理であり、サーキットに持ち込むしかない(全7枚) マクラーレンのモデルラインナップには、「GT」と「スーパーカーズ」があり、前者にはGTの後継となるGTS、後者にはPHEVのアルトゥーラとフラッグシップの750Sがある。さらに言えば、750Sにはオープンカーのスパイダーも用意されている。今回は、この中でクーペタイプの750Sに試乗できた。 スタイルは、メインカットを見るとわかるように、どこから見てもマクラーレン以外のなにものでもないエクステリアデザインである。しかしディテールまで確認すると、フロントバンパーのデザインは変更され、エキゾーストパイプはデュアルタイプから中央に配置されるなど、従来型の720Sからの進化がうかがえる。 ドアも、マクラーレンのアイコンであるディヘドラルドアが採用されている。 もっとも、このマシンのトピックのひとつは、その心臓部だろう。従来型の720Sと型式は変わらないM840T型V8ツインターボエンジンだが、「750」というネーミングどおり最高出力は750ps(552kW)を発生、最大トルクは800Nmに達する。 改良のポイントは、ブースト圧の向上、軽量ピストンやセカンダリーフューエルポンプの採用など。プラス30ps/30Nmの進化だが、さらに注目すべきは、徹底的な軽量化が同時に行われているところだろう。
そこかしこに生きる「こだわり」
1gでも軽くすることで0.1秒でも速く・・・「進化に終わりはない」を理念とするマクラーレンらしく、その手法は極めて緻密だ。 カーボン化されたシート、軽量ホイールといった目につく部分はもちろん、メーターディスプレイ、フロントウインドウ、エキゾーストパイプなど一見、見えないところでも減量している。 新デザインのフロントバンパーも実はワンピース構造とされている。結果、車両重量はクーペのDIN重量で、720S比30kg軽減され1389kg(720Sは1419kg)となる。 マクラーレン史上もっともパワフル、しかも軽量を謳うだけではない。7速DCTのファイナルギアがローギアード化されたほか、新形状のリアウイングによってダウンフォースも向上している。 公表されたパフォーマンスは、0→100km/h加速で2.8秒(720Sは2.9秒)、0→200km/h加速で7.2秒(同7.8秒)。ギア比変更などのため、最高速度は9km/hほど低い332km/hだ。 どれも実用領域では感知しきれない性能向上だが、そこには数値では測れない価値があることを、実際の試乗で実感することができた。
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