自民・茂木政調会長 残業時間の上限「一定の法的基準が必要」
自民党の茂木敏充政策調査会長は20日、東京の外国特派員協会で開いた会見で、政府でも検討が始まった「働き方改革」の長時間労働の是正について、時間外労働の上限など「一定の法的基準」が必要だとの考えを示した。 【中継録画】自民党の茂木敏充・政調会長が会見
この日は、茂木氏が委員長を務める自民党の「働き方改革」と「経済構造改革」に関する両特命委員会での検討課題について述べた。 長時間労働規制をめぐっては、厚生労働省が9日、有識者による検討会で議論をスタートさせている。 労基法では1日8時間、週40時間を超えた働くことはできないが、労使間で合意して取り決めれば、時間外労働が可能になる通称「36協定」(労基法第36条による協定)という例外ルールがある。この場合も原則として週15時間、月45時間が上限になるが、さらに36協定に「特別条項」をつければ理屈上、残業時間の上限がなくなる。 自民党の働き方改革の特命委員会では、「月に何時間まで」などといった時間外労働の上限時間の設定について検討される。茂木氏は、各企業の自助努力だけでは長時間労働の是正が難しいとみており、「一定の法的基準の設置が必要」との考えを示した。 専業主婦世帯などの所得税を軽減する配偶者控除については、「パート労働者のいわゆる103万円の壁を除去する税制改革。具体的には、現在の配偶者控除からパート収入の上限がない夫婦控除に移行したいと考えている」と見直しに取り組む方針を明らかにした。 経済構造改革では、自動運転やIoT、ロボットなどの分野について、産業構造を転換させる取り組み「第4次産業革命」の重点分野に位置づけ、官民あげて強化に取り組む方針を掲げる。茂木氏は、「自動走行の車ができれば、地方に住む人々の生活圏そのものが広がり、まったく世界が違ってくる」などとして、これら新分野の成長が社会に与えるインパクトの大きさに期待感を示した。 アベノミクスについては成果を強調する一方で、「道半ば」とも指摘。「道半ばのアベノミクスをどう加速するか、という観点から、働き方改革と経済構造改革を進めねばならない」と強調した。 (取材・文:具志堅浩二) ■全編動画