松下洸平、「光る君へ」周明はまひろを愛していたのか?大河初出演で挑んだオリジナルキャラは「異質さ」がキーに
「やはり親からもらうものがとても大切だと思っていて。大げさな言い方かもしれませんが、生まれてから幼少期を経て、自我の芽生え、思春期に至るまで、親からどういう愛情を受けて育つかということが、その人の人生を決めるような気がしているんです。だからこそ、彼は幼い頃に親に捨てられてしまった時点で一つ信じるものを失っている。僕は37になった今でもそうですが、どんなことがあっても親が僕のことを信じてくれたから、そして僕自身も親のことを信じていたからここまで頑張れてきたと思っています。周明は1つ大きく欠落したものがあって、そこから宋に渡り、馬車馬のように働かされ、気づけば一人ぼっちになってしまったんだろうなと」
まひろと再会した際、周明は「俺のこと、恨んでないのか?」と20年前にまひろを傷つけた贖罪の想いを吐露しつつ、道長(柄本佑)の元を離れ、物語を書く気力もないまひろの支えになろうとする。「まだ命はあるんだ、これから違う生き方だってできる」「お前がこれまでやってきたことを書き残すのはどうだ?」「松浦(まつら)にまで行きたいと思った友のこととか、親兄弟のこととか、何でもよいではないか」と励ます姿は、20年前とは別人のようだ。こうした変化について、松下はどのように捉えたのか。
「まひろと別れてからが彼の新しい章の始まりだったと思うのですが、最終的に今いる場所が、彼にとって心安らぐ場所になっていたはずで。お芝居をする中で、(チーフ演出の)中島(由貴)監督から“あの頃の周明とは違って、憑き物の取れたような少し優しいおじさんでいてほしい”とも言われました。当時は自分の使命であったり、生きる意味や場所がないことへの葛藤、そういったものが渦巻いていたから、どこか人を寄せ付けないところがあったと思います。まひろに対しては笑顔で優しく接していたけれど、それも偽りの姿だったと思うと、今はそういったしがらみはないので。最後、大切な人を守り、命を落としたというのは、まひろに想いを伝えられなかったことに唯一悔いが残るでしょうけれど、彼にとっては最良とは言えないかもしれないけれど結果的に良かったんじゃないかなと思っています。悲しい死ではあるけれども視聴者の皆さんにもそういう風に思っていただけたらと思いますし、最後は大切な人の前でその人に触れながら逝ったことに、周明も天国でよしとしようと思っているんじゃないかなと」