神戸大病院で肺がんの診断遅れるミス 疑い指摘を担当医2人が見逃す
神戸大学医学部付属病院は6日、記者会見を開き、医師が画像診断の結果を見落とし、肺がんの診断が約1年遅れる医療過誤があったと発表した。患者の現在の容体については「個人の特定につながる」として明らかにしていない。 【写真】医療過誤について謝罪する神戸大学医学部付属病院の真庭謙昌院長(中央)ら=2024年12月6日午後、神戸市中央区楠町7丁目、岡田健撮影 病院によると、患者は70代の女性で、2016年から心臓の病気のため神戸大病院でコンピューター断層撮影(CT)検査を定期的に受けていた。22年10月にCT検査を受けた際、肺がんの疑いがあるとして放射線科の医師が、女性を担当していた心臓血管外科の医師に指摘。23年10月にも放射線科から別の心臓血管外科の担当医師に同じ内容を指摘したが、2人とも診断リポートの指摘部分を確認しなかったという。 直後に別の病院の女性のかかりつけ医が診断リポートにあった肺がんの疑いに関する指摘に気づき、神戸大病院の呼吸器内科に女性を紹介して発覚した。病院側は「早期に対応していたら、比較的早期の肺がんとして手術などの治療ができていた可能性が高い。発覚時にはがんが進行していて、根治治療をする機会を失う結果になった」と医療過誤を認めている。 記者会見で真庭謙昌病院長は「患者さんとご家族に心身ともに多大な苦痛をおかけしました。このような事態を招いたことについて深くおわびします」と謝罪。担当医以外にも、がんなど診断リポートの重大な指摘を見逃さないよう確認する責任者を診療科ごとに置き、チェックをさらに徹底するなどの再発防止策を講じたという。(岡田健)
朝日新聞社