少年野球でも必須…データ活用は「感情的にならなくていい」 投球で目指したい“95超”
データという“新しい軸”が選手の活躍を左右…まずは「自分の体を深く知る」ことから
小・中学生の段階では、まだ分析機器と接する環境も少なく、数値の活用も難しいかもしれない。それでも、「データに関しては今後進化する一方で、衰退することはない」と語るのは内田コーチだ。 「英語の勉強を高校で始めるのと、小学生から始めるのとでは、大きく違ってくるのと一緒。データに触れる機会を早い段階で作ることは絶対に大事で、データという“新しい軸”を使いこなせる選手が活躍できる時代になる」と力説する。 技術の可視化はモチベーション向上にも繋がるようで、この日は自己最速を更新する投手が続出した。では球速以外で、“分析初心者”が確認するとよい項目は何か。ストレートの球質に関わる“回転効率”を内田さんは挙げる。「ストレートの回転効率が95%以上ならば文句なし。逆に80%とか低ければ、リリース時の圧力にズレが生じている可能性がある。それが手先の問題なのか、体の使い方の問題なのか、何かしらのエラーやロスが起こっている確認にもなります」という。
もちろん、データの重要性が増しても、野球をやるのはあくまで人間。そこには選手自身の感覚や努力も必要だ。青木さんは「結局は、数字を見てどう自分に“落とし込む”か。フォームを見直すのか、トレーニングをして筋力をつけるのか。そこはメジャーでも難しいとされている」と語る。 その上で、“落とし込み”ができる選手になるには、小・中学生の段階から自分の体について深く知る姿勢が大事だとアドバイスする。「普段の練習やトレーニングでも、考えながら体を動かし、メカニズムを理解する習慣をつけて、データを見た時に『こうしたい』とアプローチできる選手になってほしい」と、球児たちにエールを送っていた。
高橋幸司 / Koji Takahashi