リンゴ生産量 過去最低 23年産 凍霜、高温響き18%減
2023年産のリンゴ生産量が前年比18%減の60万3800トンとなり、過去最低となったことが農水省の作物統計で分かった。高齢化や担い手不足で栽培面積の減少に歯止めがかからない上、春先の凍霜害と夏場の高温などの影響で不作だった。担い手確保や夏場の高温対策が急務であることが改めて浮き彫りになっている。 【データで見る】ミカンの生産量と日農平均価格の推移 今回公表した作物統計では、23年産のリンゴ、ミカンそれぞれについて、結果樹面積、生産量、出荷量をまとめた。 リンゴの生産量は60万トン割れ目前となり、データのある1973年以降最低。出荷量も同18%減の54万8400トンで過去最低だった。生産量と出荷量の前年からの減少幅は、ともに凍霜害が深刻だった21年産の減少幅(13%減)を上回る。 春先の開花期に発生した凍霜害による着果数の減少や、果実肥大期に当たる夏場の高温・少雨による日焼け果の発生などが響いた。結果樹面積も同1%減の3万4600ヘクタールとなり、減少傾向が続く。
ミカンも減少傾向
ミカンの結果樹面積は同2%減の3万5400ヘクタールとなった。生産量は前年並みの68万1600トン、出荷量は同1%増の61万7100トン。ただ、面積減少に加えて夏場の干ばつによる小玉傾向で、一昨年と比べると生産量と出荷量はともに1割減となった。 生産量、出荷量の減少傾向で、需要に対する供給不足が続く中、ミカン、リンゴともに価格は上昇傾向にある。日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、この10年でリンゴは3割高、露地ミカンは5割高になった。 品薄高が長引けば消費者離れも懸念される。生果に加え、果汁原料などへの仕向けも不足感があり、生産基盤の維持・強化が一層重要な課題となっている。(永井陵)
日本農業新聞