【社説】「二つに分かれた」韓国の光復節、尹大統領の責任だ
全国民が心を一つにして祝うべき79回目の光復節を前に、国論分裂で国がバラバラになってしまった。光復会は「韓国の反逆者たちは日本の右翼と内通している」という激しい言葉で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に政策の転換を求めている。共に民主党などの野党は、政府主催の式典への不参加の意思を明確にしている。国をここまでに至らせた尹錫悦大統領は、国民が共感しうる正常な対日・歴史政策に立ち戻って分裂を収拾すべきだ。 光復会のイ・ジョンチャン会長は10日、「韓国にいる反逆者たちは日本の右翼と内通し、むしろ前戦の日本と同じ道を歩んでいるという危機感に陥っている」と現状を表現した。尹大統領は先の光復節の祝辞で、日本について「共に力を合わせていくべき隣人」、「普遍的価値を共有し、共同の利益を追求するパートナー」だと説明してきた。最も近い隣国である日本とは円満な関係を維持すべきなのは当然だが、韓日が心を開く「友人」となるためには、2つの前提が満たされなければならない。第1に、日本が過去の植民地支配に対して謝罪・反省の気持ちを忘れないこと。第2に、「二度と戦争はしない」という約束を記した平和憲法を守ること。 しかし、右傾化した日本社会は「子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」(2015年安倍談話)との意思を明らかにし、国防費を大きく増やしつつ「敵基地」(中国、北朝鮮)を攻撃できるミサイルまで購入している。にもかかわらず韓国政府は韓米日3カ国同盟の強化ばかりに没頭し、佐渡鉱山の「外交惨事」に見られるように、朝鮮人労働の「強制性」を否定する日本の退行的歴史認識すらそのまま公認してしまった。 こうした中、「ニューライト問題」を招いたキム・ヒョンソク独立記念館長の任命と「建国節問題」は、すでに社会内にまん延する親日(編集者注:附日。日本統治時代に日本帝国に加担・協力した反民族行為)に偏った態度で一貫してきた尹錫悦政権に対する危機意識に火をつけた。尹大統領は、誤った人事で国民の自尊心を大きく傷つけたうえ、社会的混乱を引き起こしたことについて、国民に謝罪すべきだ。また、今回のことに責任があるカン・ジョンエ国家報勲部長官と当事者のキム・ヒョンソク館長は、自ら職を辞すべきだ。 さらに、光復節を前に懸念が膨らむのが尹大統領の北朝鮮観だ。尹大統領は去年と一昨年の光復節の祝辞で、「自由」を強調しつつ、吸収統一に対する熱望を隠さなかった。今年はそれを具体化した「新たな統一論」を提示する予定だという。実現の可能性がないうえ、不必要な混乱ばかりを生むことは明らかだ。計画の発表は中止すべきだ。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )