【MLB】クオリファイング・オファーの仕組みを解説 FA選手への提示期限は現地時間11月4日午後5時
ワールドシリーズが終了し、オフシーズンがスタートした。すでにFA市場はオープンしており、各球団はワールドシリーズ終了から5日以内に、自軍のFA選手に対してクオリファイング・オファーを提示しなければならない。クオリファイング・オファーとは、FA移籍に関する補償やペナルティに関連する制度として、2012年オフから採用されているシステムである。なお、今オフのクオリファイング・オファーの提示期限は現地時間11月4日午後5時(=日本時間11月5日午前7時)となっている。 2024年ポストシーズンの日程・結果一覧 クオリファイング・オファーとは、FA選手の元所属球団が「決まった額での1年契約」をオファーして、FA選手に対して残留を要請するものである。金額は「年俸上位125選手の平均」で決められることになっており、今オフは2105万ドル(=約32億円)だ。 クオリファイング・オファーを提示された選手がオファーを受諾して残留するケースはそれほど多くなく、制度が始まった2012年オフ以降、オファーを提示された131人のうち、受諾して残留したのは13人だけ。基本的にはオファーを拒否することを前提とした制度であり、オファーする側も「ドラフト指名権の補償を得るためにクオリファイング・オファーを提示している」という側面が強い。 クオリファイング・オファーを提示しなかったFA選手が他球団に移籍してもドラフト指名権の補償は得られないため、基本的に元所属球団は「1年2105万ドル」で残留してもらってもいいという選手に対してはもれなくオファーを提示することになる。 ただし、クオリファイング・オファーは「過去に提示されたことがある選手」と「シーズン途中で移籍した選手」は対象外となる。よって、各球団は「過去に提示されたことがなく、1年を通して自軍でプレーした選手」にのみオファーを提示できる。 では、クオリファイング・オファーを拒否したFA選手が他球団へ移籍した場合、ドラフト指名権に関して、どのような補償とペナルティが発生するのだろうか。 まず、30球団は3つのグループに分類される(分類が確定するのは12月の見込み)。 【1】ぜいたく税の基準額を超過したチーム 【2】収益分配金を受け取る側のチーム 【3】それ以外のチーム 各グループについて、クオリファイング・オファーを拒否したFA選手が他球団へ移籍した場合に得られる補償は以下の通りだ。 【1】ドラフト4巡目のあとの指名権を得る。 【2】選手が総額5000万ドル以上の契約を結んだ場合は、ドラフト1巡目と戦力均衡ラウンドAのあいだの指名権を得る。総額5000万ドル未満の契約を結んだ場合は、ドラフト2巡目のあとに行われる戦力均衡ラウンドBのあとの指名権を得る。 【3】ドラフト2巡目のあとに行われる戦力均衡ラウンドBのあとの指名権を得る。 各グループについて、クオリファイング・オファーを拒否したFA選手と契約を結んだ場合に科せられるペナルティは以下の通りだ。 【1】2番目と5番目に高い順位のドラフト指名権を喪失する。また、国際アマチュアFA選手との契約に使用できる契約金の総額が100万ドル減額される。2人目と契約した場合は、3番目と6番目に高い順位のドラフト指名権を喪失することになる。 【2】3番目に高い順位のドラフト指名権を喪失する。2人目と契約した場合は、4番目に高い順位のドラフト指名権を喪失することになる。 【3】2番目に高い順位のドラフト指名権を喪失する。また、国際アマチュアFA選手との契約に使用できる契約金の総額が50万ドル減額される。2人目と契約した場合は、3番目に高い順位のドラフト指名権を喪失することになる。 米公式サイト「MLB.com」によると、各グループに該当する球団は以下の通り(まだ確定ではない)。 【1】アストロズ、ブルージェイズ、ブレーブス、カブス、ドジャース、メッツ、フィリーズ、レンジャーズ、ヤンキース(9球団) 【2】アスレチックス、ブリュワーズ、ダイヤモンドバックス、ガーディアンズ、マリナーズ、マーリンズ、オリオールズ、パイレーツ、レイズ、レッズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、タイガース、ツインズ(14球団) 【3】エンゼルス、カージナルス、ジャイアンツ、ナショナルズ、パドレス、レッドソックス、ホワイトソックス(7球団)