【Suicaのチャージ代は経費?】“うっかりミス”で追徴課税は笑えない…。税務調査官が「経費と認めるチャージ代、認めないチャージ代」の差【税理士が解説】
交通系IC(Suicaなど)や電子マネーのチャージ代は、税務調査で指摘されやすい経費の一つです。チャージ代が指摘されやすい理由や、正しく経費計上するためのポイントについて、税理士法人松本が解説します。
チャージ代は「経費計上のタイミング」に注意
Suicaへのチャージは、税務調査でどのように指摘されるのかについて解説します。 ■「チャージしただけ」では経費とみなされない Suicaに限らず、電子マネー全般へチャージしただけでは、原則として経費とは認められません。Suicaへのチャージは、現金を電子マネーに代えただけに過ぎないため「現金を自分の銀行口座へ預け入れた」「銀行から引き出した現金を財布へしまった」といった行為と同じであるといえるのです。Suicaを早期に導入した場合「チャージした時に経費にしてもよい」と専門家からアドバイスされていたケースがあるかもしれません。Suicaへのチャージが電車賃とイコールになっていると認識している人も少なくないでしょう。 ■チャージ代が経費とみなされるタイミングは? 経費とみなされるのは、チャージした金額を使って交通機関を利用した時点となります。毎回決まった時期に定額をチャージし、すべてを交通費として使用している履歴などがわかれば、チャージした時点で経費計上しても最終的に認めてもらえる可能性はあります。しかし、もしもチャージした金額を経費以外の用途に使用した疑いがある場合、税務調査で指摘を受けてペナルティの対象となる可能性が高まってしまいます。
税務調査で「チャージ代」が指摘されやすい理由
税務調査でSuicaへのチャージについて指摘されやすい理由として、以下のような点も挙げられます。 ●私的な目的に使用されやすいため ⇒Suicaや電子マネーへチャージした場合、チャージした金額のすべてが交通費として使用されるとは限らない仕様となっています。Suicaへチャージした現金は、Suicaでの決済に対応している店舗でのショッピングに使うことが可能です。そのため、Suicaへのチャージを経費として計上しながら、実際にはプライベートな目的で使っている可能性がないかを税務調査ではチェックされることとなるのです。 税務調査でSuicaのチャージをプライベートな目的で使用したとみなされた場合、経費の計上が認められないため、その分の法人所得の修正が必要となります。また、会社役員への給与として扱われる場合には、源泉所得税の徴収漏れも指摘されることとなるでしょう。 ●二重計上されている場合があるため ⇒Suicaのチャージ時点で経費として計上し、チャージを使用した際にも経費計上する「二重計上」が行われやすい点も、税務調査で指摘を受ける理由の1つとなっています。 チャージした時点で経費計上したことを忘れて、うっかりコンビニなどでSuicaを使用し、購入した際のレシートを経費のレシートに含めてしまい、二重計上となってしまうケースは見落としやすいものです。意図的に二重計上したわけではなかったとしても、税務調査で疑いを持たれるような点が随所に見られれば、経費の水増しや私的な着服などが疑われる可能性も出て来てしまいます。 ●明細がわからないケースも多いため ⇒Suicaへチャージした際の履歴は残っていても、実際にいつどの時点でいくら使用したかがわかる明細を保存していないケースもあります。Suicaの利用履歴はチャージ専用機で印字することができますが、最大で100件までしか遡ることができないため注意が必要です。うっかり印字を忘れると明細が提示できなくなってしまい、税務調査で指摘されるケースもあります。 うっかりミスによる二重計上や利用履歴の明細提示ができない、といった事態が重なってしまうと、税務調査で横領や脱税、所得隠しなどを疑われる原因になりやすいのです。