【在職老齢年金】リタイア後に働くと年金カット? 結局、働きながら年金受給すると損なのか
老齢基礎年金は全額支給される
在職老齢年金はあくまでも老齢厚生年金部分を指すため、老齢基礎年金は全額支給されます。 たとえば、老齢厚生年金10万円のうち、1万円が支給停止となり9万円が受け取れる方の老齢基礎年金が6万円だった場合を考えてみましょう。 この方が受け取れる年金額は「在職老齢年金9万円+老齢基礎年金6万円=15万円」となります。 どれくらい在職老齢年金が支給停止になるかは、基本月額と月給(総報酬月額相当額)で異なります。 なお、令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の平均年金月額は14万3973円です。 ただしこのなかには老齢基礎年金の金額も含まれるため、これを仮に6万円とすると、基本月額の平均は8万3973円と推測できます。 あくまでも平均をもとにした目安に過ぎませんが、一般的には勤務先での月給が41万円を超えると在職老齢年金が差し引かれる可能性があると考えると良いでしょう。 したがって働きながら年金を受け取ると損をするかどうかは、基本月額と給与次第ということになります。
在職老齢年金の見直しも議論されている
2024年8月5日、内閣府の有識者検討会は、在職老齢年金の見直しを提言しました。 給与が一定額を超えると年金額が減らされる仕組みが、高齢者の就労促進の妨げになっているとの指摘があるためです。 現在は基本月額と給与の合計が50万円を超えると、在職老齢年金の支給額が減る仕組みですが、今後この金額が引き上げられていく可能性があります。
在職老齢年金のまとめ
働きながら年金を受け取ると、損をする可能性もあります。 在職老齢年金は基本月額や給与で変わってくるため、仕組みを理解して自身で計算できるようにしておきましょう。 また在職老齢年金は老齢厚生年金を指すため、不動産投資や株式の配当金、個人事業主として働いた場合の収入は減額されません。 在職老齢年金の支給停止を避けたい方は、お勤め以外の働き方も検討してみましょう。
参考資料
・内閣府「高齢社会対策大綱の策定のための検討会 報告書素案」 ・日本年金機構 「在職老齢年金の計算方法」 ・日本年金機構 「在職老齢年金の支給停止の仕組み」 ・厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
金子 賢司