「皆さんの努力が実ったよ」 被団協ノーベル平和賞、代表委員の田中熙巳さん演説
来年で戦後80年となる中、被爆者の高齢化や、被爆の実相を次世代にどう受け継ぐかが課題だ。9日の記者会見で「若い人たちが核兵器のことを真剣に考えていないのではないか」と懸念を示した田中さん。授賞式では「10年先には直接の体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれません。これからは、私たちがやってきた運動を、次の世代の皆さんが、工夫して築いていくことを期待しています」と若者に訴えた。
被団協では最高齢の92歳だが、空路の長旅もいとわず北欧まで出向いた。「言葉として伝わっても、中身まで伝わらないことがある」からこそ、現地で、肉声で、核廃絶への思いを伝えたかったと言い切る。
授賞式では先人らの遺影も見守った。「(受賞が)10年早かったら喜びが共有できた」と残念がる一方、長年にわたる先人たちの運動が受賞につながったと確信する。
「あなたたちに対する受賞でもある。皆さんの努力がここまで実ったよ」(オスロ 木下倫太朗)