「僕たちの方が勝利に…」久保建英“日本代表とひと味違う”スペインでの素顔と本音「ファンを煽り、強豪DFたちを翻弄」現地カメラマンは見た
「まだ80分残っている…」逸る気持ちを抑え込み
意気込みが大きかっただけに大きなショックがあったはずだが――久保は厳しい表情と共に、両手のひらで逸る気持ちを抑え込むような仕草を見せていた。 試合後、その時の心境を「試合はまだ80分残っていると考えることができました。50分に先制されていたら、もっと悪い結果になっていた」と久保は伝えている。 試合は早々に、攻めざるを得ないホームチームと、守備を固めカウンターを狙うアウェイチームというハッキリした構図となった。久保が評するアトレティコは「5バックという点においてはヨーロッパでもトップクラス」という。 久保の相手となったのは、5バック左端のハビ・ガランだった。昨季の同僚相手に徹底したマークを受ける久保には、なかなかパスが回ってこない状況が続いたが、CKの混戦から2本の決定機を作る。またキャプテンのミケル・オヤルサバルがゴールへ迫るなど――それらはアトレティコの名手ヤン・オブラクのファインセーブにあったが――チームとして攻勢を強めていく中で、徐々に久保の元へボールが集まり出す。 ファール覚悟で潰しにくるガランに身体すら触れさせないキレで、自身へ集まるマークを逆手に右サイドバックのジョン・アランブルとの連係を見せた。またセンターライン付近でボールを受けた際には、マークにつくCBの一角ホセ・マリア・ヒメネスをトラップと同時にかわすと一気に加速。急ストップで追い縋るヒメネスを揺さぶると、さらに縦へ進みタッチライン側からセンタリングのキックフェイントで切り返すなど、翻弄し続ける。オヤルサバルを狙ったクロスは、やや短くカットされたがスタジアムを大きく沸かせた。
「もっと声援が必要だ」とファンを煽って
そして前半終了間際、サイドでパスを受けカットイン、立ちはだかる2人のDFを置き去りにして左足を一閃した。ニアポストへ飛んだ鋭いシュートはオブラクに弾き出されてしまったが、久保は「もっと声援が必要だ」とばかりに、ファンを煽っている。 ソシエダは後半開始から、怪我から復帰して間もないブライス・メンデスを投入、さらなる中盤の強化を図る。後半早々ソシエダは、久保が受けたファールからチャンスを作る。ゴメスのFKが弾かれ久保の元へ、左足のキックフェイントでボールを持ち替え右足でシュートを狙ったが枠を大きく外れた。 さらに右サイドで存在感を高める久保は、ボール受ける際に細かいバックステップを入れることでガランの予測の裏をかき、トラップと同時に前進し鮮やかに抜ききっている。 その久保へは、前線よりグリーズマンがカバーに入るなど、アトレティコ指揮官ディエゴ・シメオネからの久保包囲網とでも言える対策が窺えた。 ソシエダのポゼッション率は67パーセント近く、またシュート数でもアトレティコの4本に対しソシエダが16本とゲームを圧倒したが、なかなかゴールを生むまでには至らない。 スタンドからも久保へ助けを求めるようなサポーターからの「Kubo」という声が大きく響いていた。
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