南京事件追悼日、「反日高揚」警戒する邦人 中国、記念館で式典 日本人学校は登校取りやめ
【北京・伊藤完司】旧日本軍の中国・南京占領から87年に当たる13日、江蘇省南京の「南京大虐殺記念館」で国家追悼式典が開かれた。在中国日本大使館は「反日感情が特に高まりやすい」として在留邦人に注意を呼びかけた。満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた9月18日には、広東省深圳で日本人学校に通う男子児童が刺殺されたばかり。中国内の日本人学校12校はいずれも登校を取りやめ、7校が休校、5校がオンライン授業の措置を取った。 【図解】中国で子どもを狙った最近の事件 国営中央テレビは13日、式典の様子と特集番組を繰り返し放送した。新華社によると、共産党中央宣伝部の李書磊部長は式典で「歴史を思い起こすのは、より良い前進のためだ。人類の平和と発展に貢献しよう」と呼びかけた。昨年に続いて最高指導部メンバーは参加しなかった。 中国では日本人学校の児童らが死傷する事件が相次いでいる。日本政府は日本人を狙ったものかどうか、動機を含めた真相解明を求めているが、中国当局は明確な説明をしていない。ただ深圳の住民からは「事件と歴史問題が無関係とは思えない」との声が漏れる。 日本大使館は今回、在外邦人に外出時は大声で日本語を話すのを極力控え、日本人と推測される服装を避けることなどをメールで注意喚起。外務省は南京事件、柳条湖事件に加え、日中戦争の発端となった盧溝橋事件(7月7日)、中国の「抗日戦争勝利記念日」(9月3日)も「特に注意が必要」と指摘している。 オンライン授業で対応した北京の日本人学校に子どもが通う30代女性は「安全のためには仕方がない。オンラインでも授業があるだけありがたい。今日はなるべく子どもは外出させない」と話していた。
西日本新聞