世界初の海底道路「関門国道トンネル」が開通【今日は何の日?3月9日】
下は自動車道、上は人道の本州と九州を繋ぐ海底トンネル
1958(昭和33)年3月9日、本州の山口県下関市と九州の福岡県北九州市を結ぶ「関門国道トンネル」が開通。世界初の海底道路であり、トンネル内は二重構造で上が自動車、下は徒歩でも通行できる人道となっており、一日3万台弱の車両が今も通行している。 【関連画像】景観が自慢の関門橋
関門海峡最初の海底トンネルは関門鉄道
本州と九州を隔てる関門海峡の海底下には、現在3本のトンネルがある。第二次世界大戦中の1942年に開通した鉄道用の「関門鉄道トンネル」と1958年のこの日開通した「関門国道トンネル」、1975年の新幹線用「新関門トンネル」である。 世界初の海底鉄道トンネルだった関門鉄道トンネルは、海上の橋だと空爆で狙われやすいことから海底トンネルになった。1919年から地質調査や海底調査などが行われたが、工事が難航することが予想されたため、一時は計画そのものが中断。しかし、戦争の影が忍び寄り始めた1936年、必要に迫られて当時の鉄道省を陸軍が後押しする形で本格的なトンネル工事に着工し、戦時中の1942年に完成した。 完成した関門鉄道は、船による輸送に比べて効率が良く、軍需品などの輸送で大活躍したそうである。
関門国道トンネルは人道もある二重構造
自動車が通行する関門国道トンネルも1938年に計画されたが、厳しい地質や第二次世界大戦による資材不足などで、工事は困難を極めた。戦後に工事が再開され、結局完成したのは計画から20年後の1958年で、世界初の海底道路となった。 その全長は3461m、海底部分は780m、トンネル内は片側1車線の2車線道路、また二重構造で下が自動車、上は人道となっている。海底道路は、国道2号線に含まれる有料道路で、料金は普通車160円/軽自動車110円。歩行者は無料だが、軽車両(自転車と原付)は20円かかり、軽車両は押して歩く必要がある。世界初の海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性もあり、観光客が散歩を楽しむ観光スポットになっている。 そして1975年には、3つ目の新幹線用「新関門トンネル」が開通。新関門トンネルは、JR西日本(山陽新幹線)の新下関駅と小倉駅を繋ぐ全長1万8713mの海底トンネルで、新幹線はトンネル内を4分20秒で通過するが、実際に海底を通行するにはわずかで、ほとんどは陸地のトンネルである。