賠償求め元職員ら提訴へ

調査結果を発表し改めて謝罪する周南市文化振興財団の（左から）有田順一理事、西村達也事務局長、藤井律子理事長＝7日、周南市徳山

　公益財団法人・周南市文化振興財団の元職員が財団の資金約1億4千万円を着服した疑いがある問題を巡り、財団は7日、同市徳山の市文化会館で会見を開き、独自に進めてきた調査結果を発表した。被害額は少なくとも1億5066万8988円に上り、元職員2人に対し損害賠償を求めて提訴する方針を明らかにした。 　財団は昨年7月、元職員2人が着服に関与した疑いがあると発表。約1年をかけて調査し、調査結果を6日、県公益認定等審議会に報告した。 　財団の調査によると、コンサートの前売りチケットの売上金回収業務を担当していた元財団職員、山本孝泰被告（56）＝詐欺の罪で公判中＝は、2013年1月から23年5月10日までの間、2098回にわたりコンビニのATMなどで自分の口座に現金計2億1611万2千円を入金。14年2月から24年1月までの間、競馬に充てるため日本中央競馬会などに計2億6130万7075円を送金した。競馬の勝ち分として1億2268万7130円の入金があったが、約9年間に行った競馬の収支は1億3861万9945円の赤字だったという。 　被害額が昨年7月の発表より増えたのは、23年に山本被告が窃盗・横領した約800万円が新たに発覚したことが理由と説明。山本被告は18年間に、財団のレジから現金を窃盗した上、数百公演のチケット売上金を横領し年間約800万円を窃盗・横領した疑いがあり、山本被告の窃盗・横領に気付きながら、経理業務を担当していた元財団職員、沢野正典被告（67）＝有印私文書偽造・同行使の罪で公判中＝は、不正発覚を恐れて決算報告書や財務諸表を不正に作成したという。 　調査結果を踏まえ、財団は元職員2人を監督する立場にあった事務局長と前事務局長の2人を減給10分の1（1カ月）の処分にする。財団の理事長を務める藤井律子市長は「財団が多額の損害を被ったことは誠に遺憾。市民、関係者に深くおわびする」と改めて謝罪した。