コロッケ、迷惑かけてばかりの「ものまね」で初めて人の役に立てた瞬間
ものまねを始めたのは女の子にモテたかったから
そんなコロッケがものまねをやってみたいと思ったのは、タレントのピーターさんと1歳上の姉の影響によるもの。 「ちょうど声変わりのとき、郷ひろみさんのものまねをやってみたらできたんです。ものまねできたら、女の子にモテるかな、と思って始めたんですよ。修学旅行のバスの中で後ろのほうの座席に隠れて、郷さんの声で歌いはじめると、女子が『誰?誰?』ってすごく盛り上がってくれたんです。でも、声の主が誰なのかを明かすと『あー、なーんだ』と意気消沈。その瞬間、俺、終わったな、って思いました」 男子には喜ばれたものまねだが、女子にはウケはあまり良くなかった。 その後、研鑚を重ね、独自のものまねスタイルを築いて、ものまね芸人となったコロッケ。しかし、自身のその芸を「ご本人が築かれた二階建ての柱を一本ずつ抜いていくようなもの」だと表現。そして、最後は何かしでかすのだという。被害者ともいうべき(と言ったら失礼か?)ものまねの対象は、これまでどのようにして選んできたのだろうか? 「はじめ、みていていいな、歌を聴いていていいな、話の内容がいいなと思うんです。“いいな”が見つかるとインスタでいうとハートマークがついて、お気に入りに入ります。自分の中で一回素直に受け入れるんですが、ものまねをしてみるとおかしくなっちゃう。本当はこんな人かもって妄想が入り始めるとどんどんおかしくなっていきます。美川さんだって歌っている途中に『アァン!』なんて言わないし、マイクも舐めない。だけど僕にはそう見えちゃうんです」 ものまねの対象は基本的に「好きな人」。しかし、好きになり始めるとだんだん変な方向へ暴走していってしまうという。 「ろ過するのではなく、魚眼レンズのようにぶっ壊すようなフィルターにかけちゃうんです。最近、吉幾三さんが秋田犬みたいな大型犬にしか見えなくなっています」
ものまね抜きで初めて真面目に歌った歌
そのコロッケがものまねを抜きに、熊本地震の復興応援ソング「にじ」を歌っている。 「こんなに生真面目に歌っているコロッケは芸能界に入って初めてではないでしょうか? 地元、熊本に対する思い入れも入っています。どんな声で歌おうかいろいろ考えました。変な声が出ないように、皆さんのお手本になれるようさわやかに歌いました」 「にじ」は1991年に発表されて以来、幼稚園や保育園で歌い継がれている定番曲。つるの剛士さんなど多くのアーティストにもカバーされている。一度聴いたら、すぐに口ずさめるメロディーには、優しい歌詞には明日への希望と他人への思いやりの気持ちがたくさん詰まっている。 「人生には繰り返し繰り返し雨が降ることがありますが、必ずそのあとには気持ちが晴れやかになる。つらいことがあっても、必ずいいことがあるよ、っていうそんなテーマを歌っています」 熊本地震から1年が経過したが、復興はまだまだ途上。しかし、前に進もうとしている方が多いと感じる。コロッケは故郷・熊本に一生関わっていくことに決めたと話す。 「いつか、『にじ』をいろいろな人のものまねで歌ってみたいですね」というものの、まずはヒットしてからのお楽しみになりそうだ。 ■コロッケ■ 1960年3月13日生まれ。熊本市南区出身。1980年8月、日本テレビ『お笑いスター誕生』でデビュー。現在のものまねのレパートリーは300種類以上。ロボットバージョンやヒップホップダンスとの融合など、エンターテインメント性の高いものまねで新境地を開拓。TV、ラジオなどの出演のかたわら、ものまねコンサートや東京・明治座などの劇場で座長公演を定期的に務める。DVD『くまモンのミュージックビデオ よかモン♪セレクション』(4月26日発売)で熊本地震復興ソング「にじ」を歌っている。