【大学野球】青学大がリーグ4連覇…「人心掌握」「参謀役」「面倒見」河原井正雄元監督が語る3つの勝因
大学史上初の4連覇達成
【10月23日】東都大学リーグ戦 第5週 青学大4-1中大(青学大2勝) 青学大が同大学初の東都4連覇を遂げた。4季連続16度目のリーグ制覇は、勝ち点5の完全優勝である。神宮球場のネット裏では、かつて青学大を率いた河原井正雄元監督が観戦。教え子である安藤寧則監督が指揮する姿に、目を細めた。河原井氏はリーグ優勝12度、全日本大学選手権優勝4度の名将。同氏は2005年春から06年春にかけて3連覇へ導いた実績があり、後輩がその記録を更新した。 「言うまでもなく、学生野球は毎年、人が入れ替わります。良い選手が抜けていくわけですから……。(戦国東都と言われる)このリーグで勝ち続けるのは難しい。強いですよ」 3つの勝因を語る。 まずは、人心掌握である。 「この秋はケガ人が多く出ましたが、勝ち切りました。選手34人。層が厚いか、薄いかと言えば、そうでもない。ただ、安藤監督がいつも目を光らせた状況で、全員が練習できる環境にある。オープン戦の結果重視。全部員が納得したメンバーが出場している。これは聞いた話ですが『来年は誰が入る?』と、次年度に入学する新1年生の話題になるそうです。安藤監督は素晴らしいスカウティングをしてきますから、既存の学生は安閑としていられない。各個人の意識が高く、切磋琢磨するムードが、チーム内に充満しています」 次に、参謀役の存在である。 「安藤監督が才能のある選手を入学させて、(投手出身の)中野コーチ(真博)がピッチャーをうまく育成している。以前、私の出身校である桐生高校(群馬)に指導しに来てもらったことがあるんです。中野コーチは選手目線に立って、良い指導をするんです。引き出しが豊富。安藤監督の1学年上ですが、理想の形でサポートする体制が整っています」
「後輩」を手厚くサポート
最後に面倒見である。大学野球の監督は高校生の勧誘と、大学4年生の就職、2つの柱がある。入口と出口。スポーツ推薦は8人。安藤監督は人との「縁」を大事にし、惚れた高校生の下には何度も足を運び、ラブコールを送る。入学後は4年間、「後輩」を手厚くサポート。2019年1月の就任以来、相模原キャンパス内にある野球部寮で寝食をともにし、熱血指導を続ける。学生を管理することはなく、伝統の「自主性文化」を浸透させている。 「安藤監督の体は、一つしかない。その中でうまく野球部を運営しています。好選手を入学させて、努力を重ねた4年後には、次のステージへと送り出す。良い循環になっている」 東都大学リーグ戦の4連覇は、2011年秋~14年春に6連覇した亜大以来。5連覇は戦後に限れば07年春~09年春にかけての東洋大。話は早いが、来春はV5への挑戦である。 河原井氏は明治神宮大会準優勝2度と「秋日本一」の経験がない。同大会は11月20日に開幕する。青学大は同大学初の年間タイトル4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会優勝)に挑む。昨年は明治神宮大会決勝で慶大に惜敗。目前で逃し、今年こそは「4冠」を合言葉にしてきた。河原井氏は「本当に強い!!」と、自身の実績を超えた安藤監督を称賛し、神宮球場をあとにした。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール