生理の血で血糖値やコロナの検査までできるように!? デンマークの研究で明らかに
有望なソリューション
予防医学に対する興味関心とセルフ検査キット業界の急成長に突き動かされて、ナセリ博士は2014年に女性のセルフケアカンパニーQvin(“女性”を意味するデンマーク語で“クウィン”と発音する)を共同設立し、経血が病気の診断に使えるかどうかを調べる研究を開始した。 その後7~8年の研究でナセリ博士は、血糖値と生殖ホルモンや甲状腺ホルモンの濃度を調べるためだけでなく、生殖器に関する情報を含む特別なタンパク質を検出するためにも経血が使えることを突き止めた。ナセリ博士によると、世界では年間35万人もの女性が子宮頸がんで命を落とす。「でも、子宮頸がんは検査で防げる病気です」。そして、閉経前の女性であれば、子宮頸がんの検査にも経血を使うことができるそう。「現在の検査方法は手間がかかり、侵襲的かつ不快」なので、これは非常にうれしいニュース。 ナセリ博士が生み出したソリューションは、自宅で経血を採取するQ-Padという名のナプキン。QvinのパッケージにはオーガニックのQ-Padが2枚含まれており、経血量が一番多い日に2~4時間着用する。ナプキンには経血を吸収するための(リトマス紙のような)細長い紙切れが1枚ずつ付いているので、それを引き抜き、残りのナプキンは通常通り廃棄する仕組み。紙切れ2本分の経血を採取したら、着払いの返送用封筒で検査機関に送るだけ(Qvinによると、液状のときと違って乾燥した血液は少なくとも2週間は保存がきくので、輸送中に腐ってしまうことがない)。検査結果は専用のアプリを通じて1週間以内に送られてくる。 いまの時点でQ-Padは、血糖値、甲状腺ホルモン濃度、ヘモグロビン値、炎症濃度、生殖ホルモン濃度の検査に使えることが科学的に証明されており、近い将来、コロナウイルス感染症や高リスクHPVの検査にも使えるようになるという。QvinはすでにQ-PadとA1cテストで米国食品医薬品局の認可を受けているので、糖尿病の女性はQ-Padの経血でA1c値をモニタリングすることが可能。