学校のタブレット端末、子どもたちは家でどう使ってる? 趣味の検索ばかり、親の不在時は「無法地帯」…悩む家庭も
小中学校のタブレット端末。家に持ち帰ってもゲーム動画ばかり見ているのに何で持って帰らせるの? 取材すると、保護者の皆さんはまず、子どものタブレットの使い方に納得できていないよう。家庭での使い方を見直してみませんか。 家庭でのタブレット端末のルール作りのポイント 広島県呉市のパート女性(40)もタブレットが悩みの種という。女性の中学3年の息子は毎日持ち帰るが、宿題に使うことはほとんどなく、趣味の釣りのことを検索するばかり。2時間使い続けることもあり、「以前は読書をすることもあったのに、そんな時間が減った」と話す。 同じ悩みを抱える家庭は少なくないよう。安佐南区の女性(47)は「持ち帰ると親が不在の間は無法地帯ですよ」と頭を抱える。「平日は持ち帰らないよう、子どもに言っている」という廿日市市の女性(44)は「教育に必要なら学校で管理できる範囲でやってほしい」と注文する。 学校はなぜ自宅に持ち帰らせるのだろう。広島市教委指導第一課の高田尚志課長は「いろいろな考え方がありますよね」としつつ、「ユーチューブなどの動画も学習に役立つものはたくさんありますし、宿題に直接使わないときにも学習道具の一つとして活用してもらいたい。使い方は無限大です」とメリットを強調する。 市教委によると、広島市内の小中学校は持ち帰りの判断を各学校に委ねているそうだ。4月の文部科学省の調査では、毎日持ち帰る小中学校は市立全204校のうち15校。各校は夜遅くに使わない▽学習に関すること以外に使わない―などのルールを設けているという。ある中学校の教諭からは「学校の指導だけの問題なんでしょうか。時間を決めて家庭のWi―Fiを切ってしまえばいいのに」との声も漏れる。 端末活用を推進する文科省の「リーディングDX」スクールに指定されている牛田小(東区)では、3年生以上が毎日持ち帰る。連絡帳代わりに使う学年もあり、課題以外でも、新聞作りなどの係の活動を家でやってきたり、帰宅後にアプリを通じて教諭に質問を投げかけたりする児童がいるという。 同校では、タブレットの使用は夜9時まで▽30分に1度は遠くを見る▽相手が嫌な気持ちになる言葉は書きこまない―などルールを定めている。それでも、保護者から動画を長時間見ているという声が寄せられたり、夜10時を過ぎても使っている児童がいたりするという。 ただ一方で「トラブルは生活指導に生かせるチャンスでもある」と同校の藤田哲平教諭は話す。「高校生になれば多くの生徒が自分のスマホを持つ時代。ルールを守れなかったという経験も含め、どう使えばいいのか自分で気付き、考える力を身に付けてほしいです」と話す。 広島市や周辺市ではフィルタリング機能で、交流サイト(SNS)や有害サイトなどへの接続を制限している。さらに東広島市などでは夜間にインターネットに接続できないように設定。三次市や呉市のように、ユーチューブの動画は学校側や市教委が許可したものだけ閲覧できるよう対策するところもある。
中国新聞社