養豚にスマート技術、AIカメラで体重把握し温湿度を遠隔監視 堅調な豚肉消費、自社農場で年間6000頭出荷目指す
■成育状況をデータ化 省力化や環境に配慮
長野県飯田市の綿半ホールディングス(HD)は、養豚業向けのシステム開発を手がけるEco‐Pork(エコポーク、東京)と資本業務提携を結んだ。同社は豚の飼養状況のデータ化や、豚舎の温湿度を遠隔監視できるシステムなどを開発している。綿半HDは同県東筑摩郡筑北村で2025年3月の稼働を目指す自社養豚場にエコポークのスマート技術を導入し、省力化や環境に配慮した畜産経営を図る。 【イメージ図】スマート技術を導入して建設する養豚場
同社は17年設立のスタートアップ企業で、従業員35人。豚を出荷する時期や頭数を予測したり、出産に関わる母豚の状況を把握したりする「Porker(ポーカー)」をはじめ、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を活用した生産管理システムを開発している。
■紙に記入していた体重計測を自動化
従来は1頭ずつ体重を計測して紙に記入していた作業を自動化し、天井に取り付けたカメラで豚の体の輪郭を捉えて体重を一括把握する「AI豚カメラ」も開発。生産性向上につながる各種サービスを提供しており、同社によると、県内を含む全国の養豚場約100カ所で導入されているという。
■グループ小売店の豚肉を全て賄う計画
綿半HDは22年に養豚場運営の中村ファーム(千曲市)の全株式を取得し、養豚業に参入した。同年9月、生産を拡充するため筑北村坂井の土地1万1千平方メートルを取得。傘下の綿半ファーム(同)が子豚の肥育舎4棟や、浄化施設や排せつ物処理施設などを建設する。
綿半HDは28年度までに年間6千頭をめどに出荷する態勢を整え、将来は「綿半スーパーセンター」などグループ小売店で販売する豚肉は全て自社農場で賄う計画。エコポークとの資本業務提携は、生産規模の拡大で人材確保が難しくなることを見越して決めたという。生産管理のスマート化により、高騰する飼料などの生産コストの削減にもつなげたいとしている。
提携に伴う出資額は非公開。綿半HDは「環境にも配慮しながら省力化を進め、豚の健康管理など『アニマルウェルフェア』にも力を入れたい」としている。