「名前を出せない方々に取材」して見えた人間の邪悪さ。半グレを題材とした『半暮刻』月村了衛×書店員座談会
──最後のお一人になります。紀伊國屋書店福岡本店の宗岡さん、お願いします。 宗岡:月村先生と皆さんの話を伺って、この作品の魅力が深まったので、また何度も大切に拝読したいと思っています。個人的には、やはり海斗みたいな人を少なくしていくためには、広島 蔦屋書店の江藤さんがおっしゃっていたように、本の力が必要なんだな、と感じています。本の力と人の力の大切さが十二分に入っている本書を、本当に政治家の方も含め、世代問わずすべての人に読んでもらいたいと願っています。 ──みなさん、ありがとうございます。最後になります。月村さん、一言いただけますでしょうか。 月村:はい。本日はありがとうございました。皆さん、本の力、という話をしてくださいましたが、こうして本の話で繋がり、思いが広がっていくのがいかに幸せなことか、改めて痛感しました。皆さんから寄せていただいた感想も、様々な表現で『半暮刻』を語っていただいて、身に余る光栄でした。著者としてはこれ以上の幸せはないと思いますので、どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。 *** 月村了衛(つきむら・りょうえ)プロフィール 1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年に『コルトM1851残月』で第17回大藪晴彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、19年に『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『ビタートラップ』『脱北航路』『十三夜の焔』がある。『香港警察東京分室』で第169回直木賞候補初選出となった。 [文]双葉社 協力:双葉社 COLORFUL Book Bang編集部 新潮社
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