セブンMBOに「伊藤忠が参画」の現実度と真意、争奪戦は早くもヤマ場で岡藤会長が語った腹の内
そして何よりの問題が、巨額の買収資金をどう確保するか。創業家と伊藤忠からの出資に加え、セブン&アイのメインバンクである三井住友銀行を筆頭とするメガバンク3行が協調融資に向けて調整中であるとされる。 ■沈黙の三井物産 難しい駆け引きが続く中、沈黙を貫くのがセブン&アイに1.85%を出資する三井物産だ。 三井物産がセブンと取引を始めたのは1983年。弁当容器から取引が始まり、総菜の原料調達や物流構築、米国と中国での展開などにも取引を広げる。2001年には包括提携を結び、食料や繊維といった事業部を超えた枠組みでセブンを後方支援してきた。
したがって今回の買収提案に対し、業界では当初「三井物産がホワイトナイトになるのでは」(関係者)との見方もあった。が、別の関係者は「社内にはクシュタールによる買収を容認する声もあるほどで、現在は行方を静観しているところではないか」と語る。三井物産の堀健一社長も、「この件でコメントはしない」と寡黙だ。 関係者によれば、創業家側はセブン&アイの決算期となる2025年2月にも買収を完了する線で調整している。まずは年内にもセブン&アイの特別委員会での決議を目指す。
巨大なディールをあと3カ月ほどでまとめ上げることになるが、セブン&アイ関係者からは「これくらいのスピード感がないと対抗できない」との声が上がる。大型買収劇は、早くもヤマ場を迎えている。
森 創一郎 :東洋経済 記者/冨永 望 :東洋経済 記者