異国の店主と土地の味/インド料理店『やっぱりインディア』
各地のローカルな風を届けてくれる東京近郊の外国料理店の店主を、料理家の土井光さんと巡るコラム。
土井光(以下、土井) 店主のスレンダさんとラムさんは、ご兄弟なんですね! 異国の地でお店を営む際にご家族が一緒だと心強いと思いますが、お二人は同時に来日されたのですか? 色々レストランは行くけど、やっぱりインド料理だよね! という気持ちになっちゃう、あったかいお店です!
スレンダ・モハン(以下、スレンダ) 1994年にワタシが先に日本に来て、その4年後に弟のラムが来ました。ワタシは、来日するまでインドの5つ星レストランでシェフをしていたのですが、銀座のインド料理店『グルガオン』の立ち上げのときにシェフとして日本に招待されたんです。はじめは日本人のオーナーとワタシの2人だけで営業していて、日本語ができなかったから大変だったけど、働きながら一生懸命覚えました。
ラム・モハン(以下、ラム) そのあとスレンダは、『グルガオン』の系列店だった京橋のインド料理店『ダバ インディア』(※2023年4月に閉店)でも働いていたよね。ワタシも来日してからは『ダバ インディア』で働いてたので、一時期は兄弟揃って同じ職場だったんです。そのあとワタシは、三軒茶屋のインド料理店『シバカリーワラ』のオープンと同時にシェフを務めました。
土井 どのお店も、カレー好きなら誰もが知ってる人気店じゃないですか! しかも立ち上げから関わって、行列ができる繁盛店でそれぞれに活躍されて経験を積んでいたんですね。
スレンダ 来日してからの1年間はインドに帰りたいなと思う時も正直あったけど、日本人の友達ができてからはどんどん楽しくなりました。それに、インドに住んでた奥さんも日本に来てくれて、家族もそばにいてくれたしね。 ラム 兄弟でお店を持ちたいと来日した頃から考えていたから、その夢のためにも頑張れましたね。
土井 『やっぱりインディア』はお二人にとって念願のお店だったんですね。 ラム そうです。2017年にオープンして、ワタシたちの出身地である北インドの料理を中心に、日本で働いたインド料理店で学んだ南インドの料理も含めたメニューが食べられますよ。