東京都がマッチングアプリ開発 「手続きが面倒で不安」の声も 官製の意義は? 「結婚相談所と似たシステムを安く使える」
自治体が進める婚活サービスとして、埼玉県が2018年に開設した「恋たま」(2年で1万6000円)は、累計約2万人が登録し、458組が成婚(2024年2月末現在)。京都府が2023年に開設した「きょう婚ナビ」(3000円)は所得証明が必要なく、1年で2000人超が登録、半年で約100組が成立している。 リディラバ代表の安部敏樹氏は「統計データなどを見比べても、結婚は間違いなく所得と連動していて、特に男性はその傾向が強い。そう考えると、お金を投じるところはマッチングアプリなのか、それとも非正規雇用の問題を解決して所得を上げることなのか、公教育のレベルを上げて塾などにお金を払う必要をなくし、2人目、3人目を考えやすくすることなのか。そういったことのほうが、少子化対策のコストパフォーマンスとしてはいいのではないか」とコメント。
一方で、マッチングアプリの仕組みに着目。「“課金するユーザーの数×どれだけ長く続けるか”、つまりライフタイムバリューの最大化という話。課金ユーザーが簡単にマッチして退会していくと、ビジネスとしてはうまくない。普通に考えると、マッチングして結婚することを事業のゴールにはしづらいが、そこを行政がやることによって異なるインセンティブが働き、結婚を最大化する可能性がある」と語る。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「結婚は女性の就業が難しい昭和の時代において、生活の安定を求めて、経済的なユニットを作る意味合いが大きかった。しかし1990年代以降、女性も自分で稼げるようになり、そのユニットを形成する必要性が低くなってきている。逆に言えば、“私が稼ぐから優しく世話してくれる男性がいい”という女性も出てくるわけで、所得証明の話はお互い様だ。こういう選択肢が増えるのは良いことだが、悪いのは結婚を餌に食い荒らしている人。東京都が真面目な目的でやるようなものが出てくるほうが、世の中的にはいいと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)