クルマに乗っていて耳障りな「騒音」はどこからくる? 主な音の発生原因5つと改善策とは
騒音が部品交換の目安になる場合も
このほか、ボディのきしみ音をノイズとして感じることもある。最近のクルマであれば、通常の走行状態で使っていれば、体感できるほどボディが歪むことはないといえるが、段差を乗り越えたときなど、ボディ剛性の低いクルマではスチールモノコックが変形してしまい、それに伴って内装材などから異音が発生することもある。 ただし、筆者の経験的には、内装由来のキシミ音の多くは樹脂パーツをはめこんでいるツメやクリップの劣化によるところが大きく、クリップなどを新品交換するだけでキシミ音がマシになることもあるので、古くなったクルマでキシミ音が気になっているならば、そうしたメンテをしてみてもいいだろう。 足まわり関連からの騒音としては、サスペンションが動く際のキシミ音とブレーキからの高周波なノイズが主なところだろう。前者についてはスプリングやダンパー(ショックアブソーバー)から発生している場合と、サスペンションアーム類に由来しているケースがある。 ダンパー由来のノイズについては、それ自体が部品として寿命を迎えていないと音が発生してこないことが多く、対策としては新品や良品への交換となる。また、ブレーキからのキーキー音についても、ブレーキパッドやディスクローターの交換時期を示していることが多い。 サスペンションアームからの異音については、調整すべき部分が緩んでいるならば正常な状態に締めなおせばいいだろう。また、ブッシュ類からの異音であれば、新品交換が主な対策となるだろう。 風切り音とタイヤからのノイズについては、いずれも高速巡行で気になることが多い。ドアミラーの根元などで発生する音はドライバーの耳に届きやすいし、タイヤのパターンノイズは高速で走るほど大きくなりがちだ。 これらについては、正直いってユーザーでは対策しきれないといえる。ボディ由来の風切り音については、できるだけ発生しないようメーカーが設計しているわけで、素人がなにか対策できるようなことは考えづらい。ただし、ルーフキャリアのようなアクセサリーをつけたことで風切り音が気になるようであれば、不要なときには外すなどの対応は可能だ。 タイヤのパターンノイズについても、一部の競技用タイヤを除けば、ノイズが発生しづらいパターンとなっている。たとえば、タイヤのトレッドパターンをよく見ると、ブロックのサイズが微妙に異なっていることがある。これは、ブロックサイズを変えることで発生する周波数をずらし、それによって耳に届くノイズを分散させるというのが狙いといえる。 パターンノイズ以外に、タイヤのなかで音が共鳴することで発生するノイズもある。こうしたノイズを減衰させるために、タイヤの内側に吸音スポンジなどを貼り付けたモデルも存在している。 パターンノイズの小さなタイヤ、吸音機能を持ったタイヤを、交換のタイミングで選ぶというのは、タイヤ由来のノイズを抑えるべくユーザーができる対策といえるだろう。 筆者の個人的な印象でいえば、運転しているときよりも助手席や後席に座っているときのほうがクルマの各部から発生するノイズは気になりがちな傾向にあると思う。運転しているときでも、高速道路でACCなど先進運転支援システムを使っていると、それまで気にならなかったノイズが耳に届くように感じることもある。 いまやAIを活用した自動運転テクノロジーというのは、次世代自動車の進化を支える要素と認識されているが、自動運転が高機能になればなるほど、ユーザーはクルマに静かさを求めるようになるだろうし、その要求レベルも上がるだろう。はたして、完全自動運転が実現する時代には、どれほど静かなクルマが生まれるのか、いまから楽しみだ。
山本晋也